中国で何が起きたのか（２）

　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１２－９－１２　WME36　村尾鐵男


つい数日前、中国共産党の次期主席と国家主席が確定している習近平・現副主席の動静が伝わらなくなったと記し、中国上層部で何かが起きているらしいとお伝えしました。
習近平が取り止めた外国要人との会談は、今月4日のシンガポールのリー・シェンロン首相、5日のクリントン米国務長官、11日のデンマークのトーニングシュミット首相、さらに日取りが判りませんが、ロシアからの経済使節団との会談も取り消されました。
水泳中に背中を傷めたとの説が米国の報道で流されていますが、中国政府は否定も肯定もせず無言です。

10月早々には第18回全国人民大会が開催され、10年続いた胡錦濤政権に代わって、習近平が共産党主席と国家主席に就任するのが確実になっており、その直前に次期主席の動静が伝わらなくなるのは異例中の異例です。一日だけお忍びで姿を消したのではありません。私が知る限りで七日間の動静不明です。
加えて、日本政府による尖閣諸島の国有化について、任期が一ヶ月を切った胡錦濤が猛然と抗議して反発しています。中国外務省を差し置いての抗議です。
中国国民の目を逸らさなければならない何かが突発的に起きたようです。

習近平が本当に背中を傷めたのなら、隠す必要はありません。その傷のために急遽入院したとしても、これも隠す必要はありません。私は普段は朝日新聞を読みませんが、日本の政治家以上に中国要人との太いパイプを持つと豪語する朝日新聞を今朝だけは買って読みました。何も書かれていません。現下の中国で、何かが起きています。それも不気味な何かです。

創作短編(51)：伊藤博文を撃ったのは誰か -9/10

　　　       　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2012-9 WME36 梅邑貫 


安重根は伊藤博文を狙撃していないようです。それにも拘わらず、安重根は正犯とされて処刑されました。 
読者諸氏が誤解されぬようお願いしますが、私は今から百年以上も前の伊藤博文暗殺事件とその裁判を云々するのではありません。ましてや安重根を弁護するのでもありません。私が不思議に思うのは、その後の韓国の態度です。乏しい資料から、この素人の私でも安重根正犯説に疑問を持つのですから、この事実を韓国が知らぬはずはありません。

韓国は声を大にして安重根の冤罪を正せとか、得意の日本への謝罪要求くらいは突きつけても当然ですが、その挙に出ないどころか、安重根を英雄と祭り上げて、これも得意の日帝の支配３５年とか３６年と言って騒ぐだけです。
それはそうでしょう。安重根を伊藤博文暗殺の張本人と位置付けて、安重根を英雄としておく方が韓国には日本との折衝で何かと便利です。

安重根が正犯ではなく、ロシアに上手く利用されただけと判明すると韓国には都合の悪いことがあるのでしょうか。真実が暴露されると、韓国は矛先をロシアに向けなくてはなりません。しかも当時のロシアは帝政時代ですから、百年前のことは預かり知らぬと門前払いされるのは目に見えています。

相手に弱みがあると見れば高飛車になり、一方で強い者には平伏す韓国の外交手法を見るにつけ、ロシアへの恐怖心に打ち勝つことのできない韓国は、嘘偽りでも構わず、しかも安重根が伊藤博文を暗殺したとの説が表向きは定着しているので、韓国独立運動の英雄とし、一方では韓国人自身が溜飲を下げるいつもの図式でしょう。

虚構の上で英雄とされた安重根をいまさら引きずり降ろすこともできない韓国は哀れです。これも得意の歴史の歪曲とその歪曲の上に立つ自己満足以外ではなく、他にも数々ある歴史の歪曲を見るにつけ、滑稽でもあります。

創作短編(51)：伊藤博文を撃ったのは誰か -8/10

　　　　       　　　　　　　　　　　　　　　　　　2012-9 WME36 梅邑貫


伊藤博文暗殺犯の裁判権は、ロシアと清国の間で結ばれた条約によって、その犯行現場がロシアの経営する東清鉄道の付属地内ですからロシア側にあります。
ところが、この裁判権をロシアは日本へ譲りました。裁判権とは国家権力の象徴ですから、他国へ譲ることはあり得ません。
ロシアの言い分は、「伊藤博文公暗殺の一件は日本と韓国との間のことであり、韓国に外交権はないから、本件は総て日本に委ねる」と言うものです。

一見して物分りの良い理屈ですが、何かが臭います。結局、安重根とその共犯者の裁判は旅順の関東都督府地方法院で行なわれました。

しかし、ロシアの裁判権放棄には素直には頷けないものが残ります。
伊藤博文は何故、わざわざ哈爾濱まで行ったのでしょうか。それはロシアの蔵相ココフツェフとの会談のためです。ココフツェフは伊藤博文がロシアの儀杖隊を閲兵している間も常に伊藤博文の隣に立ち続けていたのですが、流れ弾に当ることもなく、擦（カスリ）傷一つ負うこともありませんでした。
私の推理を先に申し上げましょう。安重根はロシアのウラディオストックに潜伏して機を狙っており、その動きをロシアの官憲は察知していたはずです。さらにロシアから見れば、あの日露戦争で、ロシアは負けたとは思っておらず、ましてや東清鉄道の南部線を割譲せざるを得なかったので、表向きはともかく、本心は日本に好感を持っていなかったでしょう。
伊藤博文を撃ち、三発も命中させたのはロシアの腕の立つ狙撃手ではなかったのか。幸いにも朝鮮人安重根もロシア儀杖隊に紛れ込んで狙撃したので、犯行の総てを安重根に被せ、その間にロシアの狙撃手は日本が追えない場所まで逃がしてしまう。
ろくな資料も持たない素人の私が想像を逞しくしたに過ぎないのですが、それほどの的外れではないと思います。

オスプレイに関わる沖縄からの質問 -2/2

　　　        　　　　　　　　　　　　　　　2012-9-08 WME36 村尾鐵男


何処にもある追い風で、何故、墜落するのか

意外にも知られていませんが、ヘリコプターには向かい風も追い風もありません。回転翼が一回転する間に、個々の回転翼の角度を変えて揚力と前進力を得るのですが、この角度を変える時期を向かい風の方向で変え、追い風方向へ回転翼が廻ったときに角度を元に戻します。この回転翼角度の変換時期は操縦士が風向に合わせて任意に設定することができます。ヘリコプターはこの特異な機能を駆使して後方へも横方向へも飛べます。勿論、空中で停止することもできます。

先ほど、オスプレイは新人操縦士が飛ばすと書きましたが、完全な新人ではなく、固定翼にせよ回転翼にせよ、基礎訓練は修了して、海兵隊で運用する初等機の操縦士資格は与えられており、少なくとも500時間ほどの飛行実績は積んでいます。

私は今でも判らぬことがありますが、それは「米国海兵隊ではオスプレイの操縦士を、固定翼、回転翼のいずれの資格を有する者から選んでいるのか」です。別の言い方をすれば、「オスプレイは固定翼機か回転翼機か」です。

固定翼機操縦の資格を持つ者にオスプレイを操縦させると、低速時の追い風で揚力が大きく失われることは十分に叩き込まれています。

一方、回転翼機操縦の資格しか持たぬ者は、低速時の追い風による揚力低下には鈍感です。
オスプレイはヘリコプターとして離陸上昇させますが、前進速度が殆ど生じていないこの時に追い風を受けている場合は固定翼へ変換してはならず、ヘリコプターとしてある程度以上の前進速度を持たせてから固定翼機へ変換しなくてはなりません。
オスプレイは特異で、操縦の容易な機種ではありません。十分な操縦訓練が必要不可欠です。この原稿を執筆中に、海兵他のオスプレイが米国の何処かで不時着したようです。　　（了）

尖閣上陸の「英雄」、落選

　　　　　　　　　　                                         　WME36　村尾鐵男


8月中旬、尖閣諸島の魚釣島へ不法潜入・上陸して中国の五星紅旗と台湾の青天白日満地紅旗を振ったあの曾建成が9日に行なわれた香港の立法会（議会）の選挙に立候補していたのですが、落選しました。

彼は「社会民主戦線」に属し、中国に媚びる現香港政権と中国共産党を厳しく批判・非難するいわゆる民主派の一人です。
尖閣から戻った曾建成を中国世論は「英雄」と持ち上げ、その熱狂を中国共産党と政府は否定することをせず、暗黙の同意を示していました。

しかし、香港にあっては、中国共産党にとって曾建成は厄介な存在です。「英雄」と讃え過ぎて香港議会の議員に当選してしまうと、あの蛮勇を発揮して中国共産党と北京政府を大声で非難する演説をするかもしれません。
かと言って、落選させるために選挙に介入すれば、これも曾建成と仲間から非難されるでしょう。
曾建成の得票数が判りませんが、本人も中国政府も無言のようですから、ほどよい落選だったのでしょう。

一方、中国共産党主席と国家主席への就任が確実となっている習近平の動静が未だ伝わって来ません。ウラディオストックで開催されたAPEC会議には現主席の胡錦濤が出席しましたが、習近平にはあと一ヶ月ほどで中国の頂点に立つ身として、公式会議以外の場所で諸外国の首脳と挨拶くらいはしておいても損はありません。でも習近平の姿はありませんでした。中国で、一体、何が起きているのでしょうか。

マッカーサーの専用機「バターン号」

　　                 　　　　　　　　２０１２－９－０９ WME３６ 村尾鐵男


昨８日、NHK-TVで吉田茂のドラマが放映され、昭和２０年８月３０日、厚木飛行場へ専用機から降り立ったマッカーサー(Douglas MacArthur)の姿も映りました。このとき、マッカーサーがフィリッピンから飛んで来るのに使った専用機は二機目の専用機で、陸軍輸送機のダグラスＣ５４Ｂ型です。民間用としてはDC４型として知られおり、昭和２６年に設立された日本航空の主力機がDC４型機でした。マッカーサーはC５４B型を１９４５年４月から１９５０年頃まで使いました。

マッカーサーはC５４B型の前にボーイングの爆撃機B１７E型を改造したXC-１０８型機を専用機として使っており、フィリッピンのバターン(Bataan)半島から日本軍に追い落とされてオーストラリアへ逃げたときの専用機はこの改造爆撃機XC-１０８型でした。

三機目はVC-１２１A型機で、ロッキードのL-７４９型コンステレーション旅客機として民間でも多数が使われました。このVC-１２１A型は、マッカーサーが朝鮮戦争への対応でトルーマン大統領と意見が合わずに解任され、昭和２６年４月１６日に日本を去るときの乗機でもあり、後任のリッジウェイ(Mathew Bunker Riodgway)の専用機でもありました。

NHK-TVには本物のDC４型機が映りました。米国とアフリカに今もって１０機ほどが飛べる状態で残っているので、そのどれかを登場させたのでしょう。コンステレーション機も飛べる状態で残っていますので、マッカーサー帰国の場面に登場するかもしれません。

創作短編(51)：伊藤博文を撃ったのは誰か -7/10

　　　        　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2012-9 WME36 梅邑貫


少々話が戻りますが、伊藤博文は何故、韓国統監に就任したのでしょうか。明治維新後に三度も首相を務め、その栄誉と功績は誰もが認めるところで、韓国統監を引き受ける必要もなく、又、安重根が並べたような誤解も受けずに済んだはずです。
韓国から、日韓併合に先立って、外交権を手に入れたのは老獪な外交官小村寿太郎でした。外交権を手に入れたら、韓国が日本政府の目を盗んで外国と勝手に話を進めないために監視役の統監を派遣しなくてはなりません。当時の首相は桂太郎で、山県有朋派の政治家です。一方の伊藤博文は山県有朋とは吉田松陰の松下村塾で共に机を並べながらも反りが合わず、政界を二分する立場の大物政治家でした。
首相桂太郎は政敵の伊藤博文を東京から遠ざけるために韓国統監に送り出そうとしますが、伊藤博文に快諾させる妙案が浮かびません。そこである日、新橋の料亭へ伊藤博文も含めて閣僚達や有力政治家を集め、女好きで名高い伊藤博文の周りに頭の切れる若い美女達を侍（ハベ）らせました。

しかし、議題が議題だけに座は盛り上がらず、重々しい雰囲気に包まれます。

「伊藤さん、いつもは次々と面白いお話が跳び出すのに、今夜はどうしたんでしょうね。湿っぽいわ」
「うん。朝鮮へ誰が行くかを決めるんだ。あの何を仕出かすか判らん朝鮮人を睨む役目だ。面白い役目のはずはなかろう」
「でも、それなら伊藤さん以外に誰もいませんよ」
「おい、おい、余計なことを言うなよ」
「だって、陛下の御信任が一番厚い伊藤さんを差し置いて誰が行くんです。陛下の御名代として行かれるんでしょう。伊藤さん以外の誰が陛下　　のお許しがいただけますかねえ」
今まで黙り込んでいた他の重鎮達が一斉に膝を打ち、「そう だ、そうだ、その通り。伊藤博文公以外には誰もおらん」と唱和し、かくして伊藤博文韓国統監が決まり、どうも首相桂太郎の深謀遠慮だったようでもあり、伊藤博文の女好きが禍しました。

オスプレイに関わる沖縄県からの質問 –1/2

　　　　            　　　　　　　　　　　　　　2012-9-08 WME36 村尾鐵男


オスプレイについて沖縄県が8項目の質問を数日前に政府に出したと報ぜられたのですが、他のニュースに埋没して詳細が判りません。私がラジオで聞いた限りで、その内の2項目は次のような趣旨でした。
「オスプレイは新型機だから、最優秀の操縦士が操縦しているのに、何故、事故が起きるのか」
「何処にもある追い風で、何故、墜落するのか」
この二点だけを私なりに説明をさせていただきます。


新型機は最優秀の操縦士が操縦するのか

答を先に言えば、新型機は最も経験の浅い操縦士が操縦します。

仮に、少々古い機種”A”を経験豊富な古参の操縦士が操縦し、少しばかり新しい機種”B”を中堅の操縦士が操縦しているとします。そこへ新機種”C”が導入されることになりました。
新機種”C”を操縦するために、機種”A”を操縦している古参の操縦士を集めて新機種“Ｃ”の操縦訓練を始めると、少々新しい機種”B”の操縦士に古い機種“Ａ”の操縦訓練を行い、機種“Ｂ”を操縦するための操縦士を確保するために、新人を集めて機種“B”の操縦訓練も必要になります。
即ち、操縦士全員に訓練を行なわなくてはならず、大変な費用と時間を要します。軍でも民間航空でも同じです。

そこで、新機種”C”が導入される場合、古参操縦士に訓練を施すことはせず、新たに採用した新人、或いは古参機長の隣で副操縦士を務めている若い副操縦士に訓練を受けさせます。

オスプレイを操縦するのは、経験豊富な古参操縦士ではなく、比較的に経験の浅い操縦士達です。ただ、機長はある程度の経験を要するので、他の機種での操縦経験を持つ者を起用しますが、決して古参ではありません。

創作短編(51)：伊藤博文を撃ったのは誰か -6/10

　　　　　　　       　　　　　　　　　　　　　　　2012-9 WME36 梅邑貫


一方、伊藤博文の弾痕は右上方から撃たれたことを物語っており、伊藤博文を暗殺したのは安重根ではなさそうです。室田義文はさらに言っております。右上方は哈爾濱駅の二階部分で、食堂であると。では誰が伊藤博文を撃ったのか。

安重根が引き金を引いていないと言うのではありません。室田義文が着用していたズボンとコートの裾に弾が貫通した跡が残り、田中清次郎は踵に傷を負っていますから、この二人は安重根が低い位置から撃った弾による負傷でしょう。

伊藤博文も随員達もコートを着ていました。哈爾濱（ハルピン）は地図で見ると、北海道の北端に位置する稚内より少し北寄りで、宗谷海峡の南端辺りと同じ緯度にあり、伊藤博文が暗殺された十月下旬にはかなり寒い季節であったと推察されます。
ですから、生々しい描写で恐縮ですが、伊藤博文の遺体を検視するに際して、気温が高い故の間違いは生じません。

伊藤博文に命中した三発の弾は実はフランス製の騎兵銃から撃たれたものでした。安重根が持っていたピストルはブローニングの七連発拳銃で、一発の弾が残っていました。
 さらに、伊藤博文は三発の銃弾を受け、川上俊彦が一発、森泰二郎も一発、田中清次郎も一発、室田義文が三発の銃弾を受け、合計九発の弾丸が撃たれました。安重根が放った銃弾の数が六発ですから、全弾が命中したか擦（コ）すったとしても、弾の数が合いません。共犯者か安重根が知らない第二の狙撃者が存在したはずです。
哈爾濱駅の南側に位置する隣の蔡家溝駅で逮捕された禹徳淳と曹道先が隠し持っていた拳銃はスミス&ウェッソンとブローニングでフランス製の騎兵銃ではありません。又、哈爾濱駅で捕まった十九歳の劉東夏は拳銃も小銃も所持していませんでした。
伊藤博文の右上方から狙撃した者がいなくてはなりません。

中国で何が起きたのか

　　                 　　　　　　　　　　　　2012-9-08 WME36 村尾鐵男


中国から真意不明のニュースが届きました。この秋に中国共産党の主席と国家主席への就任が確実となっている習近平に関わる動静です。

先ず、訪中しているクリントン米国務長官との会談を反故にし、同じく訪中するデンマーク首相との会談も取り消し、その理由を中国外務省が口を硬く閉ざして語りません。
習近平は水泳中に背中を傷めたとの情報が流れており、デンマーク首相との会談は国務院(政府)の高官が代わって会うと中国外務省は語っています。
三年前の年末、急遽来日して、小沢一郎と仙谷由人のゴリ押しで天皇陛下に拝謁した習近平です。中国共産党の次期主席を確実にしたとは言え、今の段階では外国の要人と会って自分を売り込む大事な時期です。背中を傷めたくらいで反故にはできない外国要人との会見です。

何が起きたのでしょうか。水泳中に本当に背中を傷めたのであれば、隠す必要はなく、あと幾日で治ると言えるはずです。
最悪の予想は、水泳中に誰かに狙撃されて重傷を負ったのか。それでも隠す必要はありません。
中国古来の伝統で、身内の者や家族内での争いが起きたのではないでしょうか。中国では名君と称えられるほど、血生臭い抗争を経て王朝に君臨しています。漢の武帝は父を殺し、唐の太宗は兄弟を皆殺しにしました。秦の始皇帝から明の世宗まで、天子となった者はすべて親殺しと兄弟殺しです。
習近平に関わる続報が待たれますが、何でもなければ幸いです。クリントン米国務長官もデンマークのトーニングシュミット首相も女性です。「口数の多い外国女性と会うのは嫌だ」と言うだけなら頷けないこともありません。

尖閣不法上陸者の素顔

　　　　　     　　　　　　　　　　　　　　2012-9-05 WME36 村尾鐵男


８月１５日の午後５時半頃、香港籍の中国人が尖閣諸島の魚釣島に不法に上陸しましたが、その後の新聞報道によると先頭に立っていた中年の粗野な感じの男の名は曾健成です。

この曾健成は、９月９日に予定されている香港の立法会議員選挙に立候補しており、その選挙スローガンの一つが、香港の小学校で使われそうになっている中国共産党編纂の教科書「国民教育」の採用反対です。
そう言えば、曾健成は魚釣島へ上陸して、何と台湾の青天白日満地紅旗も振っていました。この旗は中国国民党、即ち台湾の国旗でもあり、中国共産党と中国政府が「日の丸」以上に最も嫌う旗でもあります。
曾健成の父親はかつて中国大陸を追放されて香港へ逃れた実業家であったと伝えられます。従って、その倅の曾健成は根っからの共産党嫌いであり、魚釣島から香港へ凱旋した直後、仲間に喋った一言が新聞の片隅に載っていました。
「日本の軍国主義にパンチ一発を見舞ったが、それだけではない。返す刀で中国共産党にもっと強烈なダメージを与えるぞ」

同じ時期、北京東方の北戴河で中国共産党首脳による今秋以降の政治体制が論じられており、又、重慶市長を解任された薄煕来の妻谷開来への英国人殺人事件裁判の判決が出る頃でした。谷開来事件を中国共産党の派閥抗争に発展させないために、さらには国民の鬱積した不満を中国共産党に向けさせないためには、曾健成達による尖閣上陸は国民の目を逸らす格好の材料となり、中国全土で反日デモが起こり、遂には親中日本大使の専用車から日本の国旗が奪われるに至りました。

曾健成は中国共産党政府にとって、まさに両刃の剣です。中国全土に曾健成が広めた反日デモはやがて反政府デモへと変容し、国民の不満を力で抑える国の姿が明らかにされ、中国共産党も限界に近着いたと世界が知る機会となります。　（了）

創作短編(51)：伊藤博文を撃ったのは誰か -5/10

　　        　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2012-9 WME36 梅邑貫


凶弾を浴びて倒れたのは伊藤博文ただ一人だけではありません。
室田義文は一発が右足をかすって軽傷を負い、ズボンとコートの裾に弾が抜けた跡がありました。
通訳を兼ねていた駐哈爾濱総領事の川上俊彦は胸部に一発が命中して重傷を負い、宮内大臣秘書官の森泰二郎は腕から肩に貫通銃創を負って重傷、満鉄理事の田中清次郎が右踵に弾を受けて軽傷を負いました。

安重根はこのとき三十歳ですが、十六歳で結婚し、十七歳で洗礼を受けたクリスチャンです。女児一人、男児二人の父親ですが、三年ほど前からロシアのウラディオストックヘ行き、韓国主権回復運動の一員となっていました。
哈爾濱駅で逮捕された後、日本側の取調べに対して、自ら「独立義兵隊の参謀」であり、「独立義兵隊の特派義兵隊として伊藤博文暗殺を決行した」と供述しており、伊藤博文は何故、哈爾濱へ来ると知っていたかとの問いには、「新聞で読んだ」と答えています。
 事件後、ロシアの官憲は容疑者として韓国人十六名を捕らえましたが、最終的に起訴されたのは安重根の他に、禹徳淳、曹道先、劉東夏の四名で、安重根の他の三名は懲役一年半から三年の軽い刑に処せられ、安重根だけが明治四十三年（1910年）三月二十六日に旅順監獄で処刑されました。
事件に先立ち、禹徳淳と曹道先は安重根と共に哈爾濱駅の隣の駅で待機するのですが、そこへ哈爾濱駅に留まっていた劉東夏から伊藤博文の行動予定が知らされ、安重根のみが哈爾濱駅へ戻って犯行に及びます。

私は読者の皆さんをトリックで引っ掛る意図はまったくなく、既に書いております。もう一度よく思い出していただきたいのですが、伊藤博文に同行した室田義文は「安重根がロシア儀杖兵の股の間に蹲っていた」と証言しています。

創作短編(51)：伊藤博文を撃ったのは誰か -4/10

　　　　　　　        　　　　　　　　　　　　　　　2012-9 WME36 梅邑貫


伊藤博文は室田義文に「室田、やられた」と漏らしたのですが、伊藤博文を狙撃した犯人はその場で東清鉄道の警察によって取り押さえられて逮捕されました。

話は少々逸れますが、ロシアが清国との間に結んだ条約で、ロシアが運営する東清鉄道には広大な付属地があり、この付属地の行政と警察・司法権もロシアに属しました。
 

その東清鉄道の南方線を譲渡された満鉄も付属地の経営権を掌中にしており、たとえば線路１kmにつき１５名の駐兵権とか駅や駅前市街地の行政司法権も含まれます。
従って、哈爾濱駅構内での暗殺事件はその犯人の逮捕権と後の裁判権はロシアに属し、伊藤博文を狙撃した犯人を東清鉄道の警察が逮捕したのは当然の権利行使でした。

伊藤博文は直ぐに食堂車に運び込まれてテーブルの上に寝かされますが、間もなく死亡します。その前に、犯人は朝鮮人だと聞かされて、「馬鹿な奴だ」と呟いたとの証言が残されています。
何故、「馬鹿な奴」なのか。実は日韓併合に強く反対していたのは伊藤博文であり、たとえ日韓併合が実現しても、それは「韓国が富強なるまでの期間に限る」との考えでした。
朝鮮人安重根は、日本政府の要人の中で、日韓併合に堂々と反対しており、たとえ併合しても限定的な期間、即ち韓国が経済と軍事力で自立できるまでの期間と限定していた伊藤博文を暗殺してしまったのであり、伊藤博文が死の間際に呟いたように、暗殺犯は「馬鹿な奴」でした。

伊藤博文を撃った弾は三発で、常に伊藤博文の側に立っていた室田義文の証言によると、第一弾は右肩から入って右乳の辺りで止まり、第二弾は右肘関節を砕いて臍の近くを抜けて外へ出て、第三弾は臍の右上から入って腹の皮下を通って外部へ出ました。

一式双発高等練習機

　　　　　　     　　　　　　　　　　　　　2012-9-07 WME36 村尾鐵男


尖閣諸島と竹島の問題に加えて国内政治の動きも急で、新聞もＴＶでは小さな話題にしかならなかったのですが、9月5日、十和田湖の湖底から青森県航空協会の有志によって「一式双発高等練習機」が引き上げられました。








「一式双発高等練習機」は昭和16年に立川飛行機によって開発・製造され、陸軍通信隊が飛行させた双発の訓練機です。通信の訓練を主とするため、通信兵を大勢乗せて訓練を行なうやめ、機体はかなり大きく、湖底からの引き上げを見ていた人々からも「大きいなあ」との声が上がっていました。

この「一式双発高等練習機」は、昭和18年、秋田県の旧陸軍能飛行場から青森県の八戸飛行場へ訓練のために飛んでいて、エンジン故障で十和田湖に不時着水した機体
                               です。カラー写真は産経より転載。

GEは中国で電球を製造していたかしら

　　　　       　　　　　　　　　　　　　　2012-9-04 WME36 村尾鐵男


ぼくあずさ氏から叱られそうですが、私の家では依然として白熱電球が幾つか使われています。便所、風呂場、階段の途中の足場照明、玄関等々です。流行りのＬＥＤ照明も使っていますが、未だ少数派です。
実は調光回路を経た白熱電球もあって、調光回路を外さないとLED電球は使えません。調光回路を経由すると高価なLED電球が直ぐにスクラップと化します。
私が自分で簡単に調光器を外せますが、ともあれ汗の季節が過ぎて、感電の怖れがなくなってからと不精を決め込んでいる次第です。

その白熱電球の一つが直ぐに点灯せず、点いたり消えたりを繰り返して、フィラメントの温度が上がってから連続点灯となり、そろそろ断線の気配が濃厚となりました。
今、白熱電球は60W型１個の値段が、近所のDIY店で160円から260円です。
つい数日前、東戸塚駅前の100円ショップで白熱電球を見つけて買いました。60Wが2個で105円でした。
店頭では電球の箱と電球そのものの頂部のマークを眼鏡なしでは読み取れず、帰宅してから拡大鏡で調べて驚きました。
その価格の低いことから、中国製であろうとは予想していましたが、電球頂部のマークは “General Electric” です。あの世界に知られたアメリカの “GE” です。但し、丸の中に GE と書くマークはなく、PSEなる刻印と “made in China”と明記されています。
この二つで105円の電球は、電球として本物ですが、GE製ではないでしょう。
イタリア国鉄の乗車券200万枚を偽造する中国の面目はまだ当分は保たれるでしょう。

創作短編(51)：伊藤博文を撃ったのは誰か -3/10

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2012-9 WME36 梅邑貫 


前記の「 伊藤博文暗殺の理由十五ヶ条 」はテロリスト特有の思い込みと誤解、或いは都合の良い作為的な誤解と手前勝手な解釈が含まれています。 伊藤博文の哈爾濱（　ハルピン　）行きに同行し、最後尾の展望貴賓車に伊藤博文と共に乗車した者は、貴族院議員　室田義文、満鉄総裁　中村是公、秘書　古谷久綱、哈爾濱総領事　川上俊彦であり、宮内庁御用掛の医師小山善と他の随員は別の車輌に乗っていました。又、ロシア側からは満洲のロシア領を管轄する民政部長の陸軍少将、経済部長の官僚、現地軍の指揮官である陸軍大佐の三名が伊藤博文の案内役として貴賓車に乗り込んでいました。伊藤博文のロシア政府大蔵大臣との会談は総てこの列車の最後尾に連結された展望貴賓車の中で行なわれることになっていたのですが、哈爾濱駅へ到着したとき、出迎えた大蔵大臣ココフツェフから、「ホームで閣下の到着を儀杖隊が待っているので、閲兵して欲しい」と予定外に頼まれ、伊藤博文は自らの随員を引き連れて大蔵大臣ココフツェフの案内でホームへ降り立ちました。伊藤博文はロシア軍儀杖隊を閲兵し、ロシアと清国の高官と挨拶の握手を交わして、直ぐに貴賓車へ戻ろうとしたのですが、そのとき銃声が轟きました。このとき、伊藤博文と共に哈爾濱駅のホームに降りた貴族院議員室田義文は、大柄で背の高いロシア人儀杖隊員の股の間に蹲（　ウズクマ　）るようにして、低い位置から拳銃を発射した男を目撃しております。 室田義文が目撃した男が伊藤博文に三発の銃弾を撃ち、他の随員にも数発の銃弾を撃ち、室田義文が「　もしや　」と思って伊藤博文を振り返ると、伊藤博文が室田義文に向かって凭（モタ）れ掛って来たので、室田義文は伊藤博文を抱かかえるように支えました。

政治家と科学者と民衆 –3/3

　　    　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2012-9 WME36 村尾鐵男

何故、原爆と原発を一線上に並べて論ずるのでしょうか。何故、国民の人気投票で原発の総発電量に占める比率を決めようとするのでしょうか。何故、原爆と原発に反対するデモ隊に首相が会うのでしょうか。

それは、ヒットラーやスターリン、さらには毛沢東にも日本の政治家が劣る面があるからです。
日本国家にとって最重要な政治目標は何でしょうか。民主党の議員達が好む「国民目線まで視線を下げた政治」では、国家としての崇高な目標は必然的に見失われ、見つけることもできません。政治綱領を欠いたまま政権の座についた政党なら当然の帰結でもあります。

今の日本国家にとって、最重要の政治要綱は国の安全保障です。李明博如きに暴言と暴挙を欲しいままにさせて竹島を泥靴で踏ませ、駐北京日本大使が日の丸を奪われても形ばかりの抗議しかできない日本政府は世界の笑い者です。

日本国家の安全保障を確かにするために、原発はどのように扱えば良いのか。原発を人気投票の的にしている現状は本末転倒であり、日本を護ってくれるはずの米国政府も内心では呆れているでしょう。
「原発の対地震、対津波への耐性をより強めるために、科学者と技術者は国家のために奉仕してくれ」

或いは、
「原発を全廃したくば、二年か三年以内に同等の電力を発電できる代替発電方法を科学者と技術者は考えてくれ」と何故、政府は言えぬのか。まことに理解出来ぬ挙動を示す政権です。スーパーコンピュータが世界二位では何故いけないのかとの発想しか出て来ない政権です。とは言え、国会議員の選挙もまた人気投票と同じで、芸のない芸能人達から最も愚かな者を選ぶ人気投票を笑うことはできません。

政治家と科学者と民衆 –2/3

　　　　    　　　　　　　　　　　　　　　　　　2012-9 WME36 村尾鐵男


ヒットラーが典型的な実例です。英国を屈服させようと原爆をアメリカより先に開発するために、世界最優秀の一流核物理学者を集めましたが、科学者である核物理学者は核理論や原子核と中性子の分裂反応は知っていても、技術者ではないために、爆弾の製造方法を知りませんでした。

民主党政権の首脳は、幸いなるかな、ヒットラーやスターリンや毛沢東ほどの度胸は持ち合わせていません。しかし、野望だけは一人前のようで、ときおり首を傾げる挙動を示します。
一方、日本では科学者はいわゆる純粋科学と応用科学の狭間で煩悶するほどに苦労はしていないようです。70年ほど前、米ソ独で原爆の開発が始った頃、科学者は政府に協力するか否か、大いに悩み、ある者は原爆開発を拒否して流刑に処せられ、ある者は積極的に協力してその名を残しました。技術者は工場で黙々と働きました。
国民はどのように振舞ったのでしょうか。敵方に原爆開発の情報が漏れぬように政府は情報を厳しく管理しましたが、同時に国民には知らされないことにもなりました。
米国では最初の原爆が広島と長崎に投下されるまで、国民はその存在を知らなかったでしょう。ドイツ国民もヒットラーが原爆開発に失敗したことを知らなかったでしょう。ソ連ではウラン鉱採掘現場へ収容所から動員された多数の政治犯も原爆開発のために強制的にウランを掘らされているとは知らなかったでしょう。

日本では原爆を投下した米国よりも、原爆そのものを恨む感情の方が強く、それは一部の学者や政治家が唱える日本の暗黒時代、軍に政治が壟断されたと思い込む時代に終止符を打ってくれたのが米国であるとの皮肉に論理的に打ち勝てないからで、その原爆の延長線上に原発を置き、原爆と原発を一線に並べて、双方共に悪であると断じています。ここには一部の政治家と一部の科学者が結託する奇妙な関係もあります。

創作短編(51)：伊藤博文を撃ったのは誰か –2/10

　　　　　　        　　　　　　　　　　　　　　　　2012-9 WME36 梅邑貫


安重根は伊藤博文を狙撃したときは三十歳で、日本人の常識に照らせばテロリストですが、韓国では今も英雄として扱われています。
安重根は伊藤博文暗殺の理由として、次の十五ヶ条を掲げました。要約して記しますが、（　）内は私の補足です。

１．１８６７年（慶応三年）、明治天皇の父帝を弑殺した。
２．１８９４年（明治二十七年）、兵を韓国皇宮へ乱入させ、韓国王室の皇后を
　　弑殺した。
３．１９０５年（明治三十八年）、韓国王室へ兵を送って王を脅迫し、五条約（第

    二次日韓条約）を認めさせた。
４．１９０７年（明治四十年）、同じく王を抜刀脅迫して七条約（第三次日韓条約）
     を認めさせ、王位を廃した。
５．韓国の山林、鉱山、農漁業、工業、鉄道を収奪した。
６．第一銀行券を強制流通させ、韓国経済を壊滅させた。
７．国債一千三百万元を強制的に韓国に引き受けさせた。
８．韓国内学校の書籍を押収焚書し、内外新聞の購読を禁じた。
９．韓国の主権回復を志す者と家族を捕らえて殺戮し、その数は十余万に及ぶ。
１０．韓国青年の外国遊学を禁じた。
１１．韓国政府高官のいわゆる五賊、七賊を一進会と統合し、韓国人に日本に
　　　よる保護を望むと言わしめた。
１２．１９０９年（明治四十二年）、五条約（韓国司法及び監獄事務委託に関わ
　　　る覚書）を強制して認めさせた。
１３、韓国三千里の国土を日本の属邦の如く称した。
１４．１９０５年（明治三十八年）以来、韓国に安寧の日はなく、二千万生霊の
　　　哭声は止まず、今も殺戮は続く。にもかかわらず、伊藤博文のみは韓国
　　　が泰平であると天皇に奏上して欺いている。
１５．これにより東洋の平和は失われ、幾億人がまさに滅亡を免れ得ない。

政治家と科学者と国民 –1/3

　　　　　　　　　　　　　　　　        　　　　　　2012-9 WME36 村尾鐵男


決まった曜日に首相官邸へ押し掛ける反原発のデモ隊の中に反原爆のプラカードが見え、原子力規制委員会の人事案にも反対とのプラカードもあるのですが、そのデモ隊を国会議員の誰かが斡旋して官邸に招いて首相に会わせました。

一方、民主党政権は原子力発電の総発電量に占める比率として、「0%, 10%、20～25%　の三通りの内、どれがよいか」と問うて、それが日本国民の総意であるかの如くすり替えようとしています。日本経済を成長軌道に戻すのに必要な電力量が示されないまま、芸能人の人気投票の如き混乱振りです。

私は、大袈裟だと笑われるかも知れませんが、ヒットラー時代のドイツとスターリン時代のソ連、さらに毛沢東時代の中国を連想します。ヒットラー、スターリン、毛沢東、この三人に共通していたある特徴があります。それは科学と技術に呆れるほどに疎かったことです。
しかし、私は一国の頂点に立つ政治家に科学と技術に通じていることを求めてはいません。国民が「あの人なら」と認める科学者や技術者を顧問として身辺に置けばよいことです。
日本の現在の民主党政権は、元首相と前首相が俗に言う理科系だそうで、科学と技術に詳しいと自負しています。まことに笑止千万です。私も技術者でありましたが、科学者は研究を続け、技術者は現場に在り続けなくては、科学者であり技術者であると自称することはできません。大学や専門の教育を修了した後、政治や市民運動に埋没した者は科学者でも技術者でもありません。

ヒットラー、スターリン、毛沢東の三人に共通する特徴がもう一つあります。国家は武力が強くなくてはならず、その武力を強くするのは科学力であると固く信じていました。従って、科学者は国家の政策に貢献してこそ存在価値があり、政権へ背を向けた科学者を収容所へ送り込み、他方では技術を知らないが故に技術者の存在を忘れました。

創作短編(51)：伊藤博文を撃ったのは誰か –1/10

　　　        　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2012-9 WME36 梅邑貫


時　   　　： 明治42年（1909年）10月26日
場所　  　： 満洲・ハルピン駅頭　他
登場人物 ： 伊藤博文　その他

明治四十二年（1909年）十月二十六日、伊藤博文は視察先の満洲・哈爾濱（ハルピン）の駅を降りたところで、朝鮮人安重根（アン・ジュングン）に狙撃されて暗殺されました。

日本が韓国を併合するのは明治四十三年（1910年）十月一日ですが、それに先立つ明治三十八年（1905年）十二月二十一日に韓国の外交権を掌握し、漢城（現ソウル）に統監府を置き、伊藤博文が初代韓国統監として現地へ赴き、明治四十二年（1910年）六月十四日までの二年半に及んでその任にありました。

韓国統監を辞した四ヶ月後、帰国していた伊藤博文は満洲視察を兼ねて、ロシアの大蔵大臣ココフツェフとの会談のためにロシアが運営する東清鉄道の哈爾濱駅へ向かいました。
伊藤博文が凶弾に倒れる前日の二十五日、長春の大和ホテルで伊藤博文を迎える盛大な歓迎の宴が催され、その後、ロシアが仕立てた展望車付きの六輌編成の特別列車で哈爾濱（ハルピン）へ向い、哈爾濱駅に到着したのは二十六日の午前九時過ぎでした。

日露戦争は明治三十七年（1904年）二月八日から翌年の九月五日まで戦われて日本の勝利で終わりますが、その結果の一部として、ロシアが運営する東清鉄道の長春以南が日本へ譲られ、これを南満洲鉄道、通称では満鉄と呼びました。
又、韓国統監府はその後の日韓併合に伴って朝鮮総督府と改組改称され、統監は初代の伊藤博文を含めて三人が続き、その後は朝鮮総督と名を替え、陸海軍の大将がその任に就きました。

東京芸大美術館の契丹展

　　　　      　　　　　　　　　　　　　　　2012-9-01 WME36 村尾鐵男


今日、親友藤澤篤尚氏と共に、上野の東京芸大美術館で開催中の「契丹展」を観ました。
かなり地味な展覧会ですが、日中国交締結40周年記念と宣伝された展示会とは言え、私には日中国交締結が何年であろうがお構いなく、日本の平安時代末期から鎌倉時代に相当する頃、漢民族を南方へ押しやって樹立された契丹国の様子を観たかっただけです。

契丹では立派な葬儀が行なわれていたと知りました。葬儀文化が確立されている民族は概ね高い宗教文化をも備えています。それと、私の目を惹いたのは、馬の鞍と鐙（アブミ）が既に存在したことです。さすがは大草原に馬を駆った民族だけのことはあります。その契丹も漢民族の文化がかなり浸透していたと知ることもできました。

今日は土曜日とまだ夏休みで、お目当ての東京芸大学生食堂は閉まっていました。

帰路、上野の森美術館は「ツタンカーメン展」で長蛇の列でしたが、土・日・祝日の入場料が何と3,000円で、平日の入場料も2,800円です。友人藤澤氏は美術展に詳しいのですが、稀に見る高額入場料だと驚いていました。夏休みを当て込んだ暴利商法です。どこの主催でしょうか。
雨模様の一日でしたが、時折厳しい日差しにも曝され、疲れた一日になりました。

オスプレイは普天間より西に配備すべき

　　　　　　       　　　　　　　　　　　　　　　2012-8 WME36 村尾鐵男


米国海兵隊の輸送機MV-22型オスプレイには機械的欠陥がないと判定され、米国海兵隊は普天間基地への配備を予定通りに進めて、尖閣諸島の防衛で中国を睨むでしょう。

さて、私はかねがね疑問に思い続けたのですが、普天間基地と尖閣諸島との間は1,000kmもの距離があり、飛行機の速度や航続距離は搭載量や気象条件で大きく変わり断定的には言えないのですが、オスプレイの一般的に伝えられる航続距離2,000kmでは尖閣諸島上空まで飛ぶだけで、他には何も出来ず、空中給油も可能ですが、緊急出動では煩雑に過ぎます。
オスプレイは普天間や辺野古よりも、さらに西方へ配備すべきです。

最も望ましい配備場所は、自衛隊の駐屯を望んでいる与那国島の空港です。与那国島から尖閣諸島の魚釣島までは北方へ僅かに160kmであり、オスプレイはさらに台湾の防衛、即ち、対中国大陸への抑止力としても寄与できます。
与那国（ヨナグニ）島は我が国の最も西方に位置する島であり、台湾へは80kmほどの距離に位置します。

次が下地島空港です。長さ3,000m、幅60mの大型民間航空機の訓練飛行用空港として建設された経緯があり、下地島から魚釣島までは北西へ200kmほどです。下地島は宮古島の西に隣接する島ですが、人口60名で市街地らしきものもなく、さらに民間航空の訓練も次第にシミュレーターへ移行して、訓練空港としての使用頻度は低下気味です。
宮古空港や石垣空港も、沖縄本島の普天間基地よりもはるかに魚釣島に近く、オスプレイの配備場所としては向いていますが、至近の場所に下地島があり、わざわざ下地島空港を避けるだけの効果はありません。

創作短編(50): 五十回記念 山岡鐵舟 -22/22

　　　  　　　　　　　　　　　　2012-08 WME36 梅邑貫


  一つ書き落としがありますが、慶應四年（1868年）三月、山岡鐵舟を三島の宿まで道案内した薩摩藩士の益満休之助は、その後、官軍の陣営へ戻っていたのですが、五月、上野の森に篭った彰義隊との戦闘に加わりました。しかし、流れ弾に当って、治療のために横浜の救急所へ送られましたが、死亡しました。

　さて、山岡鐵舟のその後に戻りますが、清水次郎長との付き合いは、次郎長が侠客であることから、鐵舟は批判されることもありました。その批判に答えて鐵舟は次の歌を遺しました。

「晴れてよし、曇りてもよし富士の山、もとの姿は変わらざりけり」

　宮内省を辞してからの鐵舟は禅と書に没頭します。禅は静岡県三島に在る臨済宗龍澤寺に星定元志和尚を三年間に及んで訪ねて参禅します。この頃の鐵舟には禅の弟子がおり、三遊亭円朝の名が知られております。
　書は生涯に揮毫百万枚を遺したと言われるほどですが、謝礼は受け取りませんでした。でも、置かれた謝礼は拒まず、無造作に箱に入れており、困窮者には惜しげもなく与えました。ある日、弟子が「先生は揮毫の謝礼を他人におやりになるのですか」と問うと、

「わしは文字を書いて礼をもらうつもりはないのだが、くれればもらって、困った人に渡しておる」と答えました。
　晩年に健康を害して揮毫を止めましたが、全生庵からの依頼は断らず、八ヶ月間に十万枚を越す揮毫をしております。

　明治二十一年（1888年）七月十九日朝、「腹痛や　苦しき中に明け烏」と詠って朝湯に入り、湯から上がって登城のときの装束に着替え、左手に数珠、右手に団扇を持ち、皇居を向いて座りました。

ほどなく勝海舟が見舞いに現れると、鐵舟は「ただ今、涅槃に入る」と言い、海舟は「左様か。ではお心安く御成仏を」と言って去り、その後、九時十五分頃に、座禅の結跏趺坐（ケッカフザ）のまま、姿勢を崩すことなく静かに没しました。享年五十三歳。幕末から維新を駆け抜けた三舟の一人の物語でした。　　　　　　　　（了）

創作短編(50): 五十回記念 山岡鐵舟 -21/22

　　　　　　　　　　　　　　　2012-08 WME36 梅邑貫


  またあるとき、次郎長は山岡鐵舟に剣術のことで大見得を切ったことがあります。
「先生、剣術なんて、役には立ちませんですなあ」
「どうしてだ」
「あっしが刀を持って闘ったときは、よく怪我をしたんでさあ。ところが、刀を抜かずに、この野郎って睨むと、皆逃げちまいましたぜ」
「まあそう言うこともあろうな。よし、お前はこの刀で俺に斬り掛かって来い」と、鐵舟は側に立て掛けてあった長刀を渡し、自分は短い木刀を掴みました。
「俺に掠り傷の一つも負わせたら、お前の立派な勝ちにしてやる。さあ、遠慮なく掛かって来い」
　喧嘩早く、常に強気の次郎長は真剣の長刀で鐵舟を斬り付けようとしますが、一歩も前へ出ることができません。
「先生、どうしたんでやしょうかね。足が動かねえ」
「刀を持たぬときの次郎長の目には光があるが、刀を持つと、お前の目は死んでおる。刀を持たぬ次郎長の方が、刀を持つ次郎長より怖いのだ」
「剣の修行をすれば、目が光りますかい」
「うん。だが、もう遅いぞ。今からでは遅い。ところで、尋ねたいことがあるのだが」
　次郎長は長刀を鐵舟に返しながら、「何なりとお尋ね下せえ」と答えました。
「次郎長のために命を投げ出す子分は何人いるんだ」
「先生、俺のために死んでくれる子分なんて、一人もいませんぜ」
「そうなのか」
「へい。ですがね、先生、俺はね、子分のために命を捨てても惜しかねえです」

　山岡鐵舟はこの清水次郎長の心意気に応えて、富士の裾野の開墾事業等に起用し、「眼、光輝を放たざれば大丈夫にあらず」との書を与えています。

天皇陛下お墨付きの閑な職業

　　　　　      　　　　　　　　　　　　　　　　2012-8 WME36 村尾鐵男

少々旧聞に属しますが、7月21日に池田隆政氏が亡くなられました。ご存知の岡山池田動物園を経営されていた池田隆政氏ですが、世が世なら備前岡山藩の殿様です。
その池田の殿様に、昭和天皇皇后両陛下の第四皇女順宮（ヨリノミヤ）厚子内親王が、昭和27年（1952年）10月10日に嫁がれました。
昭和40年（1965年）頃、池田厚子さんは敗血症に罹り、岡山大学医学部附属病院へ入院されて長い闘病生活が始まり、御心配された御両親の昭和天皇皇后両陛下は度々岡山へお見舞いに出掛けられました。

何時のことだったか、記憶が戻りませんが、或る年の晩冬の頃、昭和天皇皇后両陛下は羽田空港から日本国内航空(JDA)が運航する岡山行きDC9-41型機に乗られました。JDAがDC9-41型機の運航を始めたのが昭和49年（1974年）8月ですから、昭和天皇皇后両陛下のJDA機による岡山行きは昭和49年以降のことになります。

天皇陛下と皇后陛下が飛行機のお乗りなられるときは、航空会社からは社長が御案内役として搭乗し、特に昭和の天皇陛下は操縦室を御覧になられるのがお好みでした。羽田空港を離陸して暫し、巡航状態に入ってから、JDAの社長が御案内して天皇陛下は操縦室内後部へお入りなり、機長と副操縦士の仕事振りを背後から御覧になられたのですが、今から50年ほども前の飛行機とは言え、かなり自動化されていて、巡航飛行中に忙しく操作するものは何もありません。その様子を御覧になられた天皇陛下がお声を掛けられました。
「君達は、何もすることがなくて、閑（ヒマ）なんだねえ」

折から年末手当の折衝が会社と乗務員組合との間で始った頃ですが、何しろ「天皇陛下お墨付きの閑な職業」ですから、組合側は戦意が上がらない年末手当となりました。

創作短編(50): 五十回記念 山岡鐵舟 -20/22

　　　　　　　　　　　　　　　2012-08 WME36 梅邑貫


　山岡鐵舟は侍従を務めた後、宮内省の上から四番目の宮内大丞や三番目の宮内少輔も務めますが、明治十年（1877年）に西郷隆盛が西南戦争で没した後も、「西郷殿との約束」だからと言って、明治十五年（1882年）までの十年間を宮内省で働きました。山岡鐵舟はこの十年間の宮内省勤めが功績となって、明治二十年（1877年）に子爵に列せられます。

　宮内省を辞した翌年の明治十六年（1883年）、山岡鐵舟は維新で殉じた人達の菩提を弔うために、東京の谷中に普門山全生庵を建てました。
　さらに、暫く遠ざかっていた剣術修行を再び始めており、一刀正伝無刀流、俗に言う無刀流を開き、その開祖ともなりました。

　山岡鐵舟が静岡権大参事の頃、清水次郎長がしばしば訪ねて来たのですが、ある日、鐵舟は次郎長に厚く礼を言いました。
「咸臨丸のことでは、えらく世話になった。わしは知らなんだので、礼を申すのが遅くなった。許されよ」
　咸臨丸のこととは、明治元年（1868年）九月十八日、清水湊に停泊中の咸臨丸が官軍の攻撃を受けて沈没し、大勢の者が傷付きましたが、徳川方の幕臣が次郎長の手で救われ、官軍の知らぬ場所へ匿われ、死者はこれも次郎長の手で手厚く葬られました。
　次郎長のこの行為は官軍によって責められますが、それに対して次郎長は啖呵を切っています。

「人は死ねば仏だ。仏に徳川も官軍もない。仏を葬って悪いなら、この次郎長、どんな罰でも喜んでお受けしますぜ」

　山岡鐵舟は、この次郎長の勇敢な行為をそのときは知らなかったのですが、数年後に聞き及んで、次郎長に是非とも礼を言わなくてはと思い続けていました。
　次郎長も山岡鐵舟の飾らぬ素直さに感激し、自分より十六歳も若い鐵舟を「俺の親分は山岡鐵舟先生だ」と誰憚ることなく言っております。

創作短編(50): 五十回記念 山岡鐵舟 -19/22

　　　　　　　　　　　　　　　2012-08 WME36 梅邑貫


　慶應四年（1868年）閏四月二十九日、明治新政府は徳川家を徳川家達（イエサト）が相続することを認め、徳川十六代家達は五月二十四日には駿府藩藩主として七十万石与えられます。
　山岡鐵舟は徳川家達を補佐して駿府へ移りますが、同じ明治四年の七月十四日に廃藩置県が施行され、静岡県権大参事を務めます。権大参事とは副知事のことです。次いで、茨城県参事、伊万里県権令（ゴンレイ）を務めますが、一年ほど経った明治五年（1872年）、西郷隆盛に呼び出されました。

「おはんとおいどん、二人で苦労して取り仕切り申した維新もようやく整いましたな」
「左様。江戸の街も燃えず、総べて善きようになってござる」
「山岡さん、わしも駿府や江戸で大勢の者と話し合うたが、御貴殿ほど扱い難き者はおらなんだ」
「ほう。左様に難しきこを申しましたかな」
「幕臣にして朝敵たる山岡鐵舟、金も要らぬ、地位も要らぬ、命も要らぬ。まことに見上げたることにして最も扱い難きこと。西郷南州が保証致しますぞ」
　この言葉を聞いて、山岡鐵舟は大笑いしましたが、かつての敵であった西郷隆盛の度量の広さと温情を感じ取りました。
「実は、鐵舟殿、陛下のお側にお仕えいただけぬか。畏れ多きことでござるが、陛下にも維新を正しゅう捉えていただき、御政道に誤りなきよう側に誰かがおらねばならぬ」
「その大役を果たせる者、薩摩に大勢おりましょうが」
「いや。おいどんが心安らかに任せられる者、おはん以外には見当たらぬ」

　山岡鐵舟は西郷隆盛に説かれて、十年間に限って宮中に仕えることになり、明治天皇の侍従として務めました。
　あるとき、酒を多めに召された明治天皇が侍従の山岡鐵舟に相撲を挑もうとされますが、山岡鐵舟は天皇に「それはなりませぬ」と強く諫言したと伝えられます。

中国と韓国だけが世界ではない

　　　　　　      　　　　　　　　　　　　　2012-8-28 WME36 村尾鐵男


今、日本では中国と韓国のみに目が注がれ過ぎています。これから先、2ヶ月ほどで米国大統領選挙があり、現職オバマか対抗馬ロムニーか、いずれが大統領の座を占めようと、世界を牽引する米国の動静は無視できません。
そのような状況下で、キナ臭いニュースが伝えられました。米国大統領選挙の直前に、イスラエルがイランを攻撃しそうだとのニュースです。オバマはイスラエルに冷淡だと伝えられ、ロムニーはイスラエルを訪ねて嘆きの壁の前で祈り、米国内でもイスラエル・ロビーの取り込みに成功したようです。

イスラエルにとってイランの核開発は死活問題です。1981年6月7日、イスラエル空軍機がイラクの核兵器開発工場を爆撃して破壊した前歴があり、イスラエルは自国防衛のための先制攻撃を躊躇しません。
当時のイラクに較べて、現在のイランはイスラエルに対してより攻撃的態度を採っており、イスラエルによるイランの核兵器開発拠点への攻撃は十分に起こり得ることです。
このイスラエルを抑えられるのは米国政府だけですが、大統領選挙直前でオバマ政権もユダヤ・ロビーと米国内ユダヤ票の取り込みに走り始めており、イスラエルにとってはイラン攻撃の好機です。

イスラエルがイランを攻撃したらどうなるか。イランを後押しするロシアと中国が国連でイスラエルを激しく非難するでしょうが、安保理事会で米国が拒否権を発動すれば、それで終わりです。では、ロシアと中国は次に如何なる手段で出て来るか。この予測は私の能力をはるかに上廻りますが、メドベージェフがユダヤ系と噂されるロシアは動けず、党と政府の中枢部にユダヤ系が見当たらない中国だけがイランを救うためにイスラエルに攻め込むか。もしも無謀にも中国がイスラエルを攻めれば、米国との一戦を覚悟しなくてはならず、中国共産党の消滅をも覚悟しなくてはなりません。

竹島を奪還するには

　　　　　     　　　　　　　　　　　　　　2012-8-28 WME36 村尾鐵男


島根県の竹島は韓国に不法に占拠されており、しかも李明博が8月15日に日本政府の許可無く上陸し、加えて、韓国独立の犠牲者に日本国民の象徴たる天皇陛下による謝罪をも求めるに至りました。
それで得た李明博の得点は、10%代に落ち込んでいた支持率が20%代へ回復したことだけで、彼は貴重な日韓関係を損なったとの認識がなく、日本も軽く見られ、李明博如きに馬鹿にされたものです。何故か。主要な原因は二つあると思われます。一つには、歴代政権が要らざる上に誤った謝罪を繰り返し、韓国を甘やかし、日本与しやすしの誤解を与え続けたこと。二つ目は専守防衛と武器輸出三原則で、日本の武力が弱いとの誤解を与えたことです。

さて、竹島を不法占拠者から奪還しなくてはなりませんが、如何にすればよいか。韓国と戦う必要はありません。
日本の古来からの島で無人の竹島を標的にして、海上自衛隊の艦艇による砲撃訓練と、航空自衛隊の攻撃機による爆撃訓練を実施し、その跡へ陸上自衛隊による上陸訓練を行います。

もしや、竹島に上陸している日本人や、韓国領との誤った思い込みで住み着いている韓国人がいるかも知れません。演習実施の一週間ほど前に立ち退きを求める警告書を空から撒けば十分で、それでも立ち退かなければ、後は自己責任です。
韓国軍が邪魔をするかもしれませんが、海上自衛隊と航空自衛隊で十分に阻止できます。これは韓国を相手にする戦争ではありません。あくまでも自国の無人島を標的とする砲撃・爆撃・上陸の演習です。

日本が竹島を奪還した後、元の無人島へ戻し、竹島が持つ自然のままの景観をも取り戻し、韓国人によって破壊された自然を復活させなくてはなりません。この自然復活には日本人ボランティアの参加が歓迎されるでしょう。