谷開來裁判は一日で結審 [稲門機械屋倶楽部]
2012-8-10 WME36 村尾鐵男
読者諸氏は「谷開來(クー・カイライ)」を御記憶でしょうか。中国の特別市である重慶市の市長を務め、今春に不正蓄財等々で罷免された薄煕來(ホー・チーライ)の妻で、英人実業家ヘイル・ニーウッドと利益配分で揉めて殺害した容疑で逮捕された女性です。
昨日、その公判が開かれ、谷開來が罪状を大筋で認めたことにより、裁判は一日で結審し、近々判決が言い渡されます。中国でも殺人を犯すと死刑が宣告されますが、裁判も早く、刑の執行はその日の内か翌日です。
中国は、形ばかりの法律はあるのですが、その法の解釈と執行は中国共産党上層部の意思で決まる典型的な独裁国家です。今回の谷開來事件は夫の薄煕來とは切り離されて、単一の刑法犯罪として裁かれているようです。
薄煕來は、度々「ぼくあずさは地球人」にも書きましたが、太子党の有力者でした。太子党とは親が党の幹部であった者で、秋の党大会で次期総書記への昇格が確実視されている習近平も太子党の一員ですから、薄煕來が殺人事件に絡んでいたとなれば、権力闘争の過程で習近平に不利な事態が生ずるとも限らず、とにかく薄煕來を切り離して、谷開來の独断による犯罪であったと処理したいのでしょう。
この谷開來裁判は安徽(アンホイ)省の省都である合肥(ホーヘイ)で行なわれています。事件現場の重慶から1000kmも離れた無関係の場所ですが、重慶には今でも薄煕來・谷開來人気が残っているので、不測の事態を避けるためでしょう。
この裁判は習近平派が実権を握って進められているようで、谷開來への死刑判決は避けられそうだとの観測が流れています。それは習近平が朋友である薄煕來への温情であり、世間から激しい抗議が出なければ死刑判決を避けるための観測気球でもあろうと推測されます。たとえ谷開來に死刑判決が下されても、死刑に執行猶予のある国です。権力を掌握すればどうにでもなる中国です。(了)
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