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中国共産党政権の近未来 –2/6 [稲門機械屋倶楽部]

                           2012-7 WME36 村尾鐵男 


公共投資と住宅建設


2008
年、胡錦濤政権第二期の発足に際して、世界不況の影響を受けて中国のGDPが下がることを防ぐべく、大型投資を行うことを決めました
政府による公共建設投資4兆元(≒54兆円)で鉄道と道路等の建設を行い、さらに銀行による民間企業への融資を驚くなかれ130兆元(≒1,855兆円)とし、造幣工場が全力で操業しました。銀行融資だけでは、巨額の金額が銀行から企業へ移るだけでGDPには何の効果も出ません。そこで政府は住宅建設を促し、土地の転用権利を持つ地方政府も一体となって中国各地で高層住宅の建設が始りました。


値上がりを待って売る住宅


全国各地で建設された高層住宅を買えるように銀行が購入者ローンを組んだので、よく売れました。しかも、一人で二軒以上も買う者が現れ、日本でもよく報道されたように空前のマンション・ブームとなって高層住宅は値上がり一途となります。


私にも中国人の友人がおり、公私に及んで永く中国人と付き合いました。一般的に言って、中国人は「ほどほどに抑える」ことが苦手で、何事も行き着くところまで行き着いてしまいます。高層住宅も建て過ぎて、価格が暴落を始めました。
マンション・ブームもその恩恵に浴したのはほんの一握りの富裕層だけで、地方から労働力として刈り出された者や経済成長に取り残された者は賃金も上がらず土地も奪われて不満だけが残って、やがて爆発し、しかもその裏に隠されていた地方官僚による土地転用に纏わる収賄も暴露されて、広い中国の各地でデモや暴動が頻発し始めました。
高層住宅を買い、値上がりを期待していた者も、住宅価格の下落で、残るのはローンの返済だけになり、生活を切り詰めれば、元来が少ないGDPの「国民消費」がさらに少なくなり、残るのは輸出と公共投資の二項目です。


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村尾鐵男

北京の夏は頗る暑いのですが、その暑さを逃れて避暑地の北戴河で開かれる長老会議の開催が遅れています。例の江沢民は既に乗り込んでいるようですが、北京では10月の胡錦濤引退後の人事で調整が長引いているようです。
政治局乗務員を現行の9人のままとするか、7人に減らすか。7人になれば胡錦濤派の優位が続き、胡錦濤自身も党軍事委員会委員長の席に座ったままで軍権を握った優位を保つつもりのようです。
この暑い時期に、北京は権力闘争の真っ盛りです。
by 村尾鐵男 (2012-08-03 09:34) 

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