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ロシア大統領の国後島訪問の背後 –2/2 [稲門機械屋倶楽部]

                         2012-07 WME36 村尾鐵男


今年の57日、プーチンが大統領に就任し、メドベージェフは首相になりました。プーチン60歳、メドベージェフは47歳です。
6月末、メドベージェフ首相は隣国ウクライナを訪れた折に、サッカー欧州選手権試合を観戦すべく開催中のウクライナのドネツクへ飛んだのですが、首相専用機の着陸が拒否されました。欧州中から選手と観客が臨時便で押し寄せて、ドネツク空港が大混雑を呈していたのが理由です。どうにか着陸してサッカー試合を観戦できましたが、前大統領で現職の首相が乗る特別専用機が着陸を断られるとは、何ともメドベージェフは軽く見られたものです

私にもロシア人との北方領土に係わる体験があります。既に故人になっていますが、東京の通商代表部に勤務したロシア人高官は北方四島の位置を知らず、サハリンと取り違えていました。北方四島は一般のロシア人には関心のない島々であり、政治家の人気取りの道具と化しています。

メドベージェフの僅か3時間の国後島滞在に、直ぐに頭に血が登る日本の首相・外相コンビが「暴挙」と声を大にしてしまったのは、民主党外交が如何に智恵不足であり、ロシア人を知らさ過ぎることを物語ります
「暴挙」と声を大にぶるだけだは、メドベージェフの支持率回復に手を貸しただけで、支持率回復のためなら、日本の特に民主党の政治家もロシアの政治家も国民に迎合する見せ場を作ることに変わりはありません。ロシア政治家の人気取りのための国後島訪問と、直情径行の民主党首相と外相による売り言葉に買い言葉、これでは解決しません。


「メドベージェフよ、汝も政治家、任期稼業の事情は洋の東西を問わずに同じ。日本領土への訪問で支持率上がるならそれも良し。次回は東京へ寄られよ。美味い寿司を御馳走しますぞ」
このくらいの言葉で反応したいものです。プーチン新政権の下で、メドベージェフ首相は依然として支持基盤が弱いようですから、メドベージェフは再び国後島を訪れるでしょう。


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村尾鐵男

今年の5月7日に発足した第3次プーチン政権では、閣僚28名中、20名が新顔で、プーチンの古巣であるKGB(秘密警察)やレニングラード時代の仲間が入っていません。
メドベージェフは首相でありながら孤立しており、失政を犯せばプーチンに更迭されるかも知れない不安感を持ち、加えての支持率低下、よくても横這いです。
メドベージェフが国民の間での支持率、或いは人気を高めるには「領土保全」は手っ取り早い方法です。アラスカを米国に売って広大な領土を失った残念感は今のロシア人にも受け継がれており、この感情に訴える「領土保全」姿勢は国民に歓迎されます。メドベージェフにとって、「自己保全」と「領土保全」は同義です。
一昨年に国後島へ訪れ、一回だけでは済まぬだろうと想像していましたが、昨日再び国後島へ現れました。択捉島へ行くつもりだったが、荒天のため国後島にしたそうですが、これは単なる口実です。
強力強権の大統領の下で働く取り得のない首相、これからも何を仕出かすか判りません。

by 村尾鐵男 (2012-07-04 19:44) 

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