SSブログ

中国共産党の権力闘争 -7/7 [稲門機械屋倶楽部]

                               2012-05 WME36 村尾鐵男


薄煕来事件と今後の中国

政治局常務委員になるには、現職常務委員で、高齢のために引退する者の引きと推薦が欠かせません。ところが薄煕来はこの好意的な先輩がおりません。そこで、黒社会撲滅とか不法に稼いだ中小企業を叩き潰して、その接収資金の一部をバラ撒いて民衆の歓心と支持を得ました。一般的な選挙制度がない中国で、民衆を味方にするにはこの方法しかありません。

前に序列九位の周永康が党規律検査委員会の取り調べを受けていると記しましたが、この周永康は党中央政法委員会書記です。政法委員会と書かれるだけでは、その役割が判然としませんが、公安の元締め、即ち、警察権の行使を意のままに出来る権力を持ち、江沢民派に属し、胡錦濤からは最大の政敵と見られているはずです。

薄煕来はこの周永康の了解を得て思うがままの地方行政が可能になっていました。薄煕来が躓けば、周永康にも影響が及ぶのは当然です。
 胡錦濤と温家宝は、特に国務院総理(首相)として現実の日常統治に責任を負う温家宝は中国の現状に危機を感じ取っており、その根源は江沢民・太子党にあると確信しています。

次の党総書記は習近平になることはほぼ確定していますから、その習近平から少しでも力を削いでおかなくてはならず、習近平の資金源ともなり得る薄煕来を失脚させ、習近平の実力行使の後ろ盾となる周永康を牽制し、江沢民の院政を断つことにほぼ成功しつつあります。


その最中に起きた人権活動家による反体制の動きは、胡錦濤や温家宝には厄介なことと思われたでしょう。しかし、たまたま北京へ現われたクリントン米国国務長官への手土産として陳光誠を国外へ出してしまえば、江沢民・太子党派との権力争いに影響を及ぼすことはありません。

法がないに等しい中国では、権力を掌握した者の考えが法です。権力闘争から目を離すことができません。


nice!(6)  コメント(3)  トラックバック(0) 
共通テーマ:blog

nice! 6

コメント 3

村尾鐵男

その後の動きを補足します。
周永康は政治局常務委員と中央政法委員会書記の辞任届けを出して故郷へ帰ってしまいました。
党大会に出席するのは出身地の「地盤」が必要で、周永康は河北省の出身になっているのですが、本当の出身地は江蘇省の無錫(ウーシー)です。
ところが、香港のニュースでは、周永康が秋の党大会に新疆ウィグルを出身地として出て来ると伝えました。このとき、東京でウィグル会議が開かれていた時期と重なり、このニュース、私には未だその背後が読み取れぬままになっています。
不完全なコメントで申し訳ないのですが、中国の政治は解読に時間が掛ります。
by 村尾鐵男 (2012-05-29 07:27) 

ぼくあずさ

村尾さん
新疆ウィグルから周永康が党大会に出るのは失脚への罠ではないかと
台湾系の新唐人電視台が伝えています。如何なるのでしょうか?
http://www.youtube.com/watch?v=n_iRcHjusOk
by ぼくあずさ (2012-05-29 16:37) 

村尾鐵男

ぼくあずさ氏へ
台湾の観測はおそらく正しいでしょう。
ウィグル族でない周永康がウィグルのために働けるはずはなく、ウィグルで一回でも反政府デモや動乱が起きれば、そこで責任を取らされることが大いにあり得ます。
さらに憶測を重ねれば、彼が中央委員と政治局常務委員の辞任届けを出したのは、自分と自分の家族の命が安泰であることを引き換えにする条件と推察されるので、ウィグル選出の中央委員になるかどうかはまだまだ判りません。
by 村尾鐵男 (2012-05-29 19:38) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。