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航空自衛隊は、何故、F-22 を買えなかったのか -1/7 [稲門機械屋倶楽部]

                                 2012-05 WME36 村尾鐵男


昨年1216日、政府は安全保障会議(議長:総理大臣)を開いて、航空自衛隊の次期戦闘機(FX)を米国ロッキード・マーチン社が開発中の F-35型戦闘機と決めました。

実は、航空自衛隊はかなり前から次期戦闘機はロッキード・マーチンとボーイング両社製のF-22型戦闘機と内々決めていたのですが、諸々の事情から次善の策となりました。理由は三つあります。


F-22型はあまりにも高価(理由の一)

 F-22 Raptor(ラプター)戦闘機は1機が15000万㌦(123億円)もします。この価格はアメリカ空軍への供給価格で、日本で国産すれば、生産量が少ないので倍にはなるでしょう
因みに、航空自衛隊の主力機F-15は国産価格で凡そ100億円、F-4戦闘機は20億円、又、次期戦闘機として選ばれた F-35戦闘機は米国内価格で12200万㌦(約98億円)、さらに次期戦闘機の候補機となったユーロ・ファイターは6,300万ユーロ(約98億円)、F/A-18E/F型戦闘攻撃機は5,500万㌦(約45億円)です。


米国空軍は世界最強のF-22型戦闘機を400機ほど配備することを望んでいました。しかし、経済状況が好ましくない現状で、議会から国防費削減を厳しく求められている政府は、特に国防総省は現在発注している187機で終了させることを2010年に決めました。


民間航空用の旅客機でも、市場が閉ざされるか飽和状態となれば生産を打ち切ります。ましてや軍用機となれば、これ以上の発注が期待できないとなれば、生産ラインは直ぐに閉鎖・解体されてしまいます。
いつか再び発注されるかもしれないとの期待があっても、そのときは旧式化してしまいます。

F-22
型戦闘機は、正確な数字は不詳ですが、160機半ばほどが米国空軍へ納入されていて、受注残は20機ほどと思われ、この20機ほどの生産に要する期間は長くても1年でしょう。


一方、航空自衛隊の配備数は2飛行隊分の40機ほどですから、巨大な米国航空産業も持ち堪えることができず、結局は航空自衛隊がF-22戦闘機を選ぶことはできません。


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ため息の午後

ご訪問ありがとうございました(笑)。
by ため息の午後 (2012-05-04 21:28) 

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