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磨耗と腐蝕と疲労との闘い -8/11 [稲門機械屋倶楽部]

                                 2012-03 WME36 村尾鐵男

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ホンダのアトキンソン・エンジン

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 突如話題が変りますが、ホンダが開発して実用化したアトキンソン・エンジンについては、116日から「ぼくあずさは地球人」に掲載されましたが、再度、下記の二つのサイトを御覧下さい。

http://www.honda.co.jp/tech/power/exlink/ 

http://www.youtube.com/watch?v=w2A7Zu3GGfY

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 多少なりとも、又、如何なる型式であれ、エンジンに関った者ならアトキンソン・サイクル・エンジンの名と理論は知っていたのですが、そのメカニズムが複雑を極めるであろうと予測し、その結果として、摩擦と磨耗の増大、潤滑の難しさ、場合によっては潤滑途絶による焼付きと腐蝕、エンジンを軽くするための強度部材節減による疲労の進行、さらにその結果として信頼性の欠如を予想し、私達の世代では実用化は困難であろうと考えていました。

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 しかし、ホンダはこのアトキンソン・エンジンの実用化に成功し、しかも、エンジンとしては最も過酷な条件下で作動する自動車用エンジンとして世に出そうとしており、一言で言えば、まことに「天晴れな成功」です。

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 再度の繰り返しになって恐縮ですが、熱力学第二法則に従えば、通常の4ストローク・サイクル・エンジンでは、圧縮行程の次に起きる燃料燃焼の温度と、排気行程で排出される排気の温度差が大きいほど、熱エネルギーから機械エネルギーへの変換効率が大きくなります。これに着目したのがジェームス・アトキンソンで、ピストン移動距離を圧縮行程よりも排気行程の場合を長くして、排気ガスの温度をさらに低下させました。

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 私は未だホンダのアトキンソン・エンジンの実物を見る機会がありません。しかし、直接見るまでもなく、複雑化したメカニズムを量産化に結びつけた優れた製造技術があればこそアトキンソン・エンジンを実用化し得たと考え、工業製品は、理論とか設計も重要ですが、それを製品化する製造技術が最後は決め手になります。飛行機も鉄道車輌も船舶も最後は製造技術です。


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