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磨耗と腐蝕と疲労との闘い -2/11 [稲門機械屋倶楽部]

                                    2012-03 WME36 村尾鐵男

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ベアリングと潤滑(Bearing & Lubrication

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機械系の製品で、最大の摩擦を生ずるのは軸受け部分で、この摩擦を減らして回転を滑らかにするためにベアリングと潤滑油が使われます。

 ベアリングはよく知られているように、軸と軸受け点接触するボール・ベアリング、線接触のローラー・ベアリング、面接触のプレーン・ベアリングがあります。大きな接触圧や荷重が掛けられる場合は、ボールやローラーでは支えられず、プレーン・ベアリングが使われ、大型の空冷星型エンジンや出力の大きなガスタービン・エンジンではプレーン・ベアリングが多用されます。

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プレーン・ベアリングとは、簡略化して言えば、回転軸を丸い筒の中に通して支えるだけのものですが、潤滑油の油膜が満遍なく拡がれば、軸とベアリングの金属同士が接触することはありません。

 又、ベアリング部の回転を滑らかにし、摩擦で高温化した部分を冷却するために潤滑油が用いられますが、私が昭和36年(1961年)に航空会社へ勤務し始めた頃から今日まで、潤滑油の進歩には目を見張るものがあります。

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 古い話で恐縮ですが、最後のピストン・エンジン搭載機と言われたダグラスDC-7型機がありました。エンジンはカーチス・ライトの空冷星型18気筒 R-3350型で、排気量は55,000ccでした。このエンジンは上部にオイル・タンクを背負っており、その容量は50ガロンです。50ガロンとはドラム缶1本の容量と同じで180ℓにもなります。これだけの量の潤滑油が/11時間も飛ぶと残り僅かになるのですが、惜し気もなく潤滑油を消費して、エンジン各部の摩擦を軽減して回転を滑らかにし、オイル・クーラーで発熱を防いでいました。

 ガスタービン・エンジンの登場と共に、いわゆる合成潤滑油が現われましたが、これは石油を主原料とせず、化学材料で合成された潤滑油で、今は普通に使われています。

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 私見ではありますが、ピストン・エンジンもガスタービン・エンジンも、その発展はベアリングと潤滑油の発展に支えられました。


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ぼくあずさ

若いころ、ASME paper に有限要素法が紹介されいていました。これを使用して蒸気タービンの平軸受の計算を試みましたが、計算機容量不足で夜間1週間で計算を諦めました。協力してくれた電算室の大学数学科卒のお嬢さんには申し訳ないことをしました。引き続き油膜計算の研究を続け、軸受不安定現象の解析が可能になりました。
by ぼくあずさ (2012-03-28 03:33) 

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