SSブログ

創作短編(41):支倉長徑、後に常長 -4/8 [稲門機械屋倶楽部]

                                    2012-03 WME36 梅邑貫

.

「殿、申し訳なき儀と相なり申しました」と、打ち萎れて仙台へ戻り、平伏して侘びる支倉長徑に伊達政宗は声を大にして答えました。

「その方達の落ち度ではござるまい。六右衛門、たかが一度のこと。左様に情けなき姿をしおっては、エスパーニャまでは行けぬぞ。なれば船を造る。その間、その方達はエスパーニャの言葉を学ぶのじゃ。百八十名の使節団を解いてはならぬぞ」

「再度、お命じ下さりまするか」

「是非もなきことよ。手立ては我が胸にある」と、伊達政宗は自らの胸を勢いよく叩きました。

.

 この後、伊達政宗は直ちに代わりの船を建造するよう命じ、新しい船が石巻で建造されました。

  この船は五百トンで、日本名ではなく、伊達政宗のスペインとの交易を望む強い意向を示すべく、スペイン語で「サン・ファン・バウティスタ(San Juan Bautista: St.John the Baptistの意)」号と命名されましたが、平成五年(1993)に復元されて石巻新漁港で展示された後、宮城県慶長使節船ミュージアムでも展示されておりましたが、平成23311日の大震災と津波でどうなったことでしょうか。

 サン・ファン・バウティスタ号の復元には、図面が残されてはいなかったのですが、長さ55m、幅11mとの大まかな寸法と概観図が記録された古文書が保管されていて、これを頼りに復元船が建造されました。

 当時の記録では、船大工八百名、鍛冶七百名、大工三千名が集められて、スペイン人の提督セバスチャン・ビスカイノの協力の下で僅か四十五日間で建造されたことになっております。しかし、この四十五日間は如何にも短過ぎます。この当時の日本の船は竜骨を持たない平底船しかなく、竜骨を持つ五百トンの船を造るにはさらなる期間を要したであろうと想像されます。

 この疑問に答えて、サン・ファン・バウティスタ号は、その前年に支倉長徑が一度は浦賀から船出して座礁難破したサン・セバスチャン号を仙台藩が買い取って修理したとする説もあります。


nice!(12)  コメント(5)  トラックバック(0) 
共通テーマ:blog

nice! 12

コメント 5

カリメロ

大分前の記事になってしまいますが・・・
納豆餅!普通に子どもの頃から食べていましたよ!
納豆と大根おろしをお醤油やポン酢などお好みで混ぜ、そこへ、つきたてもしくは焼きたてのお餅を入れて食べていました。
岐阜に越して来ても、皆さんその食べ方を知ってましたので、メジャーな食べ方だと私の故郷も茨城ですが~思ってました。
因みに、私はポン酢に七味をちょっと入れて食べる派です。
by カリメロ (2012-03-22 02:17) 

ぼくあずさ

カリメロさん
岐阜も山・水・緑に恵まれた野外派の御家族にピッタシの土地
だろうと想像しています。いつもnice ありがとうございます。
なお本記事の筆者と同じく東京生まれ育ちの私も、納豆餅は
食べたことがありません。試してみます。
by ぼくあずさ (2012-03-22 06:49) 

村尾鐵男

納豆餅、この呼び名は私が命名したもので、本場の茨城では何と呼ぶのか知りません。
後日談があります。昨日の午後、納豆餅をくれた奥さんに家の前の道で会ったので、「美味しかった」とお礼を言ったところ、夕方に再び差し入れてくれました。
晩の食事をどうするかと思案していたところだったので、この納豆餅で済ますことにしました。カリメロさんが言われる通りです。夕べの納豆餅には大根おろしが掛けてありました。
「男の独り住いは、何もないと聞いてるけど、ポン酢はありますか。少しだけ掛けると、美味しくなるのよ」
台所の下の収納庫に残っていたポン酢を掛け、美味しく食べました。
by 村尾鐵男 (2012-03-22 08:13) 

カリメロ

こんばんは。
なんか、とってもタイミング良く、納豆餅のコメントを入れたようですね^^;
納豆餅は、お米に大豆!大根にポン酢の酢!と栄養のバランスもとても言いと聞かされて食べていました。
我が家は、主人も息子もお餅が大好きですので、休日のお昼に、納豆餅とワカメとほうれん草のお味噌汁で良く食べます。
美味しいし、十分ですよね^^
まだの、ぼくあずささん是非試してみてください♪
by カリメロ (2012-03-23 00:50) 

ぼくあずさ

カリメロさん、村尾さん
納豆餅の情報多謝。家庭の味はやっぱ(やはり)女性により
伝えられるのでしょうね。フラウもブログを読んでいますので
遠からず、食卓に出ることを期待しています。
カリメロさんが「富士山が好き」と書いておられましたので、
最初は静岡生まれかと早とちりしていました。義兄は茨城で
暮らしていますが、細君と共に東京生まれなので納豆餅を知っ
ているか、聞いてみようと思います。
by ぼくあずさ (2012-03-23 15:58) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。