東急車両から東横線への回送 -2/2 [和田の泊りより]
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川重製の車両を運ぶ場合もJR貨物のお世話になります。
川重兵庫工場にはJR和田岬線が分岐されて引き込まれていますので工場内で仕立てられた列車は此処でJR貨物の機関車に連結され、兵庫駅を経由して鷹取駅で山陽本線に乗り、後は電気機関車に牽引されて東海道本線を東上します。
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国鉄時代には自力回送と言うこともあったのですが民営分割化以後はJR貨物との契約で甲種輸送を行っています。
横須賀線の場合は新鶴見まで東海道を上り それ以降は上記東横線の逆のルートで大船迄行くと思います。
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ついでながら川重製京急の車両を運ぶ場合はゲージが違うので仮の台車に履き替え、横須賀線と同じルートで大船迄行き更に東横線の逆ルートで東急車両まで入りここで正規の台車に履き替えた上で整備を行い、京急線に出て本線試運転が行われます。
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ついでの話をもう一つ。
鉄道車両は各社、各路線毎に向きが決まっており全て同じ向きに揃えられています。通常「一端」、「二端」と呼ばれJR の電車で言えば車端に①、②の表示があります。これは検修設備との関連、運用上の問題で向きがバラバラだと不都合が起こるからですが、最終目的地でこの向きを正しく納入するためには回送ルートをよく調べておかなくてはなりません。途中にスイッチバックがあると向きが変わってしまうのです。
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電車メーカーは転車台を持っていませんから最初に車両を作る時からこの向きを正しくセットしておかなければなりません。
以前北海道に送る車輛が台風の影響で線路が不通になり急遽ルート変更して納入しようとしたところが向きが逆になってしまい北海道に着いてから五稜郭機関区で一両ずつ向きを変えて貰った事があります。
また最近の車両のブレーキは空気だけではなく電気制御も使われているので無動力回送と雖も電気が必要です。
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これもチョンボの話ですが東海道本線を東上している途中、浜松辺りで回送の列車バッテリーが上がってしまいブレーキが緩まなくなって立往生したこともありました。
車輛の回送というものも結構気を使うものです。
月川@神戸
数年前まで、鉄道車輌は発注者が製造会社へ取りに行くと思い込んでいました。
実は、私が永年馴染んだ航空の世界では、発注会社のパイロットが製造会社まで取りに行きます。もっとも、長距離洋上飛行の経験が乏しい小規模航空会社の場合は、ボーイングやエアバスが相手の根拠地空港まで飛ばして納品します。
月川さんのお陰で、鉄道業界の在り様がよく判りました。
by 村尾鐵男 (2012-03-19 20:24)