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見渡せば 眺れば 見れば 須磨の秋 -3/3 [和田の泊りより]

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続いてこの句には同じような動詞が3つもあって、いわゆる3段切れですが、これらの3つの動詞を国語辞典で引いてみますとつぎのようになっています。

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ア 見渡す→遠く広く望み見る

イ 眺める→特定の物に限定することなく全体の様子を見る

ウ 見る →眼を対象に向けてその存在、形、様子を自分で確かめる

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これらのア~イの動詞は遠くひろく全体からすぐ自分の近くの様子までを見ている一つの動作であって、大きくは「見れば」で切れていおり、全体としては、須磨は、遠くから近くまで、ももうすっかり秋になったという素直な感情を3段切れを気にせずに詠んだ句であると思われます。

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ご存知のように俳句の入門書には3段切れは初心者にはなんでも詰め込んで何を強調しているのかわからなくなるので、一ヶ所に絞る様にと禁止事項ですが、その一方、次の例外を認めています。

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    目には青葉山ほととぎす初鰹 (山口素堂) 

    季語 青葉・ほととぎす・初鰹()

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また、芭蕉の次の3字切れの句がみつかりました。

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   子らよ 昼顔咲きぬ 瓜むかん  

   季語 : 昼顔・瓜()

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今回は色々と俳句の勉強になり有難うございました。

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平成24122日 衞藤一郎

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From: 月川 善雄

Sent: Saturday, January 21

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衛藤さん

先日お送りした、源氏寺の写真に芭蕉の句碑がありましたが

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    見渡せば 眺れば 見れば 須磨の秋

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三句切りの名句とか、あまり見かけない

5435の句切ですね。

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月川@神戸

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ぼくあずさのComment

この句は延宝六年(1678)春、芭蕉(1644-94)35歳の発句。

彼が心眼したのは第三章光る源氏の物語

須磨の秋の物語 [第一段 須磨の秋]

http://www.sainet.or.jp/~eshibuya/version12.html#in31 

句碑は昭和12年に建立。


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コメント 2

ぼくあずさ

義叔父が遺した句集が我が家に伝わっています。粗末な紙が使われて
いるので戦時中に印刷されたと思われます。パリに長らく生活していた
従弟は「俳句では食べて行けないから」と言っていました。
by ぼくあずさ (2012-01-26 08:14) 

村尾鐵男

衛藤さんへ
俳句も衛藤さんレベルの話になるととても追随できません。
漢詩には古詩と称される漢詩発祥の頃の古い詩がって、漢字の数が揃っていなかったり、途中で字数は増えたり減ったりする詩があります。
俳句にも古俳句のようなものがあって、字余りや字足らずではなくて、五七五ではないものがあるのでしょうか。
衛藤さん御存知の最も古い俳句を教えて下さい。
by 村尾鐵男 (2012-01-26 08:55) 

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