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夢を追う男たち -5/18 [北陸短信]

                                 .by 刀根 日佐志

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荘一のすすめもありその日、加持は荘一宅に泊まることになった。そして特徴のある顔を綻ばせながら現在、人工栽培に取り組んでいる霊芝の健康への効用をまくしたてた。

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陶酔の境地に入り込んだ真剣な眼差しと、身振り手振りで一方的に説明をした。荘一の口を挿む余地はなかった。

加持の奥さんは派手な身なりで、気性も強そうだが、殊の外、主人を立てている。

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当日は夕食に、今朝、獲れた蟹や鰤で歓待した。奥さんは加持に蟹の身を殻から丁寧に出してあげていた。加持は嬉しそうに黙って見ていた。

「私は、こんな美味しい蟹や鰤を初めて食べました」

奥さんは驚いていた。

「富山の魚は美味しいですね。刺身はコリコリとした食感が何とも言えないです」

獲れたての魚の味を、加持夫妻は絶賛していた。翌日、お土産に〈食べる固形抹茶〉一箱と〈飲茶シート〉を置いて帰った。

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数日後、加持から荘一の自宅に電話が入った。

「先日は色々お世話になりました。東京に来たときには、是非、私の家にもお寄りください」

お礼を述べたが、最後に謝りたい事があると付け加えた。

「申し訳なかった。先日連れて行ったのは女房でなかったのです。すいません」

意外な言葉に、荘一は放心したような複雑な気持になり黙り込んだ。しかし暫くすると、苦笑いがこみ上げてきた。


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