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陸上自衛隊幕僚長人事 [稲門機械屋倶楽部]

                                 2011-08-12 WME36 村尾鐵男

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 一週間ほど前の新聞が片隅で伝えたニュースですが、陸上自衛隊の幕僚長が85日付で発令され、前任者の火箱芳文(ヒバコ・ヨシフミ)陸将の勇退辞任に伴って、東北方面総監を務めていた君塚栄治(キミヅカ・エイジ)陸将に代わりました。

 この人事は726日の閣議で北沢防衛相から報告され、これを首相をはじめとする全閣僚が了承して85日の発令となっています。

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 冒頭で記したように、主要紙はいずれも片隅の記事で、関心がないと目に止まらぬ扱いであり、解説記事もありません。又、閣議でも首相がこの人事に関心を持っているとは思えず、関心のないことには無言で冷淡な首相のお陰でこの人事は実現したとも考えられます。

 この人事、実は「戦績重視」の人事です。君塚陸将は東日本大震災関係のTVニュースにも度々姿が映っていたので御覧になった方も多かろうと思います。陸海空の三自衛隊10万人を東北方面総監であった君塚陸将は指揮し、加えて米軍との連携も立派に果たしました。陸上自衛隊が始まって以来、10万の部隊を、それも三軍混成の部隊を指揮したのは君塚陸将が初めてでしょう。

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 歴代政府は国内の奇妙な世論を慮って、自衛隊を戦わない軍隊に育てました。PKOで派遣される部隊には自己防衛以外には武器を使わせず、機関銃の携行も認めないほどです。現在の民主党政権では、尖閣諸島を侵犯した中国漁船への対応を見ても判るように、武力行使に極めて消極的で、又、自衛隊を暴力装置と見做す本心を暴露したように、自衛隊から戦力を削ぐことに努めました。

 このため、自衛隊は軍隊でありながらも、「戦績」が無いに等しく、従って軍隊でありながら「戦績」を基準とする人事評価ができないので、「経歴」で評価せざるを得ない状況が永く続いていました。

 そこへ図らずも起きた東北地方の大震災で、自衛隊は国民の期待に応える結果を残し、それが「戦績」となりました。防衛省の誰の発案か知りませんが、経歴評価から戦績評価への脱皮は、今後の自衛隊人事に好個の実例を残しました。首相菅直人が自衛隊の「戦績」に無関心であったことに感謝します。

                                                             (了)


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