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大前研一 ニュースレター「中国高速鉄道事故」 [サンアントニオ短信]

                                          .by 大嶋邦夫

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時々懇) 月川さん、他皆さん

大前研一のニュースレターを紹介します。

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KON373「中国高速鉄道事故~日本が培った「技術の本質」を甘く見るな。」 2011/07/29) http://www.lt-empower.com/koblog/ 

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                                          .by 月川善雄

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大嶋さん

大前研一氏のニュースレター、興味深く拝見しました。

皆ごもっともなご意見です。,

今回の事故は止まっている列車に他の列車が追突したのですからこれは信号システムの問題であることは間違いありません。当局の発表でも信号に重大な欠陥があり落雷による故障で赤信号が青信号に変わった(或いは青信号のままだった)ということです。この信号システムを作ったのは[北京全路通信信号研究設計院有限公司」と言うところで、例によって自前の技術だそうですがいずれ何処かのコピーでしょう。

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大前氏の言われる鉄道の「本質」について自分なりに考えてみたのですが勿論、乗客・従業員の安全が第一であることは言を待ちませんが、基本的には「フェイルセーフ」「サービスプルーブン(使用実績)」「それらの技術を関係するすべての人間が共有すること」だろうと思います。

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一番目の「フェイルセーフ」ですが鉄道の場合は航空機と違って、異常があれば列車であれ、機器であれ直ちに止めるのが原則です。高速で走らせるのは原動機の出力を上げれば基本的には可能ですが、実は止める技術の方が難しい。

信号についても故障すれば赤信号(停止信号)現示するように設計するのが原則で故障して青信号(進行信号)が出たと聞いた時には唖然としました。こんな信号の原則に反した設計をする方もする方ですが、それがデバッグされること無しにそのまま使われると言うところに恐ろしさがあります。

「サービスプルーブン」というのは新しいものであればこれを使い込んで実績を作って行くことなのです。

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今回、事故車両が直後に破壊され、埋められたというのは多分、現車に見られてはまずいものが搭載されていたか或いは搭載されていなかったことを隠ぺいするための措置だと思いますが、この杭州~福州線は新幹線の専用線ではなく在来車との混用だったと聞いています。この場合、どのような信号システムが使われているのかが興味があります。赤信号が青信号に変わったとの発表ですが実際に赤・青の「色灯式信号」が使われていたのか、或いは「停止・進行」の意味で使われたのかは不明ですが、もし目視による信号が使われていたのだとするとこれは高速鉄道には不向きです。何故なら高速鉄道では非常ブレーキを掛けても停まるまでには数km走ってしまい信号が見えてからブレーキを操作してもとても間に合わないからです。因みに日本の新幹線の運転士には上記の理由で前方監視の義務がなく、全て車上信号に依っています。.

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以前九広鉄道(香港~広州)の准高速車両のプロジェクトをやっていたときに日本は古い技術ばかり持ってくる、日立などは5年前のシステムを持ちこんできたが、ドイツは最新のものを提案して来ると脅かされましたが、これは中国特有の両天秤に掛けて良いとこ取りをする手管ですが、一方で「サービスプルーブン」が判っていない一面を示しています。

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測の域を出ないので調査の結果を待つと言いたいところですが、どうせ真相は闇の中に葬られ責任者を処罰するというところでお茶を濁すのでしょう。しかし急速な高速鉄道網を完成させるために運転士は不足しており10日間の講習で運転しているような促成栽培の運転士、信号のことが良く判らない駅務員、列車司令もどの程度判っているのか、また保守のバックアップ体制もできているのか兎も角、全てが準備不足のままで開業に突入したのが根本的な原因でしょう。形だけ出来上がればこれで技術を習得したと思いこむのは技術の何たるかを知らない素人集団がやることです。


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ぼくあずさ

月川さん
独仏のメーカならプログラム中に細工を仕込むことがあろうかと思います。
先頭車輛を砕いて土中に埋めたこと、そして鉄道省か独自の警察や裁判の組織をもち、しかも既に8000㌔の高速鉄路を敷設済みの事実にも驚かされました。余りにも急ぎ過ぎと思います。
by ぼくあずさ (2011-07-30 13:36) 

村尾鐵男

模倣は如何に糊塗しても模倣の域を出ず。
あの中国人に、時間を掛けても独自技術を開発しようとの「意地」がないのが不思議。
我が家の中国製両面焼きトースターも、外観は某社の日本製そっくり。でも直ぐに片面が焼けなくなった。
by 村尾鐵男 (2011-07-30 15:33) 

中沢 弘

月川さん
 ご意見に同感です。大前さんの意見もその通りだと思います。今回の事故で信号のほかに考えられる主要な原因はATCの欠陥だと思います。これが正常に機能していれば追突などは考えられません。
 今回の事故原因だけでなくもっと心配なことがあります。それは疲労寿命の問題です。鉄道車両や軌道設備で疲労破壊が起こると、今回の衝突事故以上の悲惨な事故が起こると思います。とくに中国の高速鉄道は長距離を走るようなので車両部品が疲労寿命に達する運転時間は短くなると思います。このような事故が起こらないことを願っています。

by 中沢 弘 (2011-07-30 18:05) 

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