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ビルマ行 -7/9 [和田の泊りより]

                                                                            .by 月川善雄

 

住友商事の事務所の前の交差点の真ん中にもう一つのパゴタ、スーレパゴタがあった。この周囲がロータリーになっておりその一角にシミーという名の洋菓子屋があった。一週間に一度だけケーキを作って売り出しており当日になると長蛇の列が出来ていた。住商の事務所からその列を見下ろして甘い物が貴重だった日本の戦時中を思い出した。

 

ラングーンの動物園は東洋一だと言われて行ってみたが全体に通路も舗装されておらず田んぼのような泥だらけのところに犀が寝そべっていたのが印象的だったが、他に大して見るようなものは無かったような気がする。客を呼ぼうとか上手く見せようと言う気が全く無くだだっ広いだけでただ動物が居るというだけである。

 

動物と言えばホテルの前に大きな木があり夕方になると烏の大群が泊りにやって来る。それは良いのだが朝になって日が昇ると一斉にカアカア啼き出して煩くてとても寝ていられない。飛んだウェイクアップコールである。

またそこらじゅうにイモリがおり時々天井からポトリと落ちてくる。この他、蠍が靴の中に入っていることがあるので靴を履く前には必ず逆さに振ってから履くようにと注意された。

 

ラングーンには限らないと思うが大方のビルマの女性は女の子も含めて、顔に粘土のようなもの(ダンナッカーというを名前だそうだ)塗っている。折角の顔を汚しているように思えるがこれが美肌料で 白檀の木を丁度硯で墨を摺るような具合に水を付けながら板に擦り付け出来上がったペースト状のものを顔に塗る。丁寧に塗れば良いのだが擦り付けると言うか塗ったくりだが、こうすると日に焼けないで肌が荒れないという。香りも良いそうだが残念ながらどんな香りがするのかそこまで接近する機会が無かった。

 仕事の往き返りは住商の車に乗せて貰ったが、ラングーン市内は元宗主国の影響か交差点がロータリーになっているのが多い。そしてロータリーの中央にカンナの花が植えられており南国の風情があった。また道路で作業している人夫をあちこちで見かけたがこれが日本のニコヨンと同じく失業対策事業だそうだ。金額も忘れてしまったが賃金もニコヨン相当だなと感心した覚えがある。
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