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船頭多くして船山に上がる [特別投稿]

                                                                                      by ewe  

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 「船頭多くして船山に上る」、指示する人ばかり多いため統一がとれず、見当違いの方向に物事が進んでいくこと(『大辞泉』より)を言いますが、震災後、各界の反対意見をも省みず、数多くの委員会や復興構想会議の創設し、大臣、副大臣、首相補佐官、内閣参与といった役職を大量増員し、それに無能なおとりまきを就任させた菅総理。彼のその保身対策は、政局を混迷させ、省庁を 機能不全に追いやり、更なる人災を生み続けており、国民はそんな菅総理に嫌気がさし、5月中旬の調査では7割の国民が首相交代を望んでいます。

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  29日付けの読売新聞に評論家・片山杜秀氏の面白い記事があったので簡単に紹介します。

 片山氏は明治35年の八甲田山雪中行軍を引き合いに出し、本来の船頭であるその行軍 隊の隊長以外に作戦研究の名目で参加した上司の少佐や大尉ら他の船頭が、行軍隊長の前進か後退かビ バークかの決断に口を挟み、命令指揮系統が混乱し 遭難に至り、210 人中199人もの死者を出したと述べています。それぞれの立場のお偉いサンがそれぞれ勝手な命令を出したら、下の者はどれに従っていいのか分からず混乱をきたし、そのうちに全体が収拾がつかなくなってしまい、とんでもない事になってしまうのです。この事件はいかに、信頼できるトップによるきちんとした命令系統が大切かを物語っています。

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 片山氏はそれだけでなく 更にこの船頭が多いことが、独裁を生むというのです。女性政治哲学者のドイツ系ユダヤ人ハン ナ・アーレントの『全体主義の起源』によると、ヒトラーのナチスドイツはわざと船頭を増やしたというのです。ナチスは独裁者であるヒトラーの命令が上から下へと明快に流れるような組織と思われますが、彼は権限や任務の重複する役所や会議をわざと作り続け、誰が何をどこに意見するべきか分からなくしたそうです。だからこそ、ナチスの指導者たちは勝手ができ、役人も学者も思考停止。彼らは自分の責任範囲すら見えなくなり「ハイル ヒトラー」と叫ぶしかなく、 狂気の暴走を止める者はもう どこにもいない、となったというのです。つまり、船頭が多いことが独裁のための重要なポイントであり、そうなるとその独裁者の暴走を止めることはできず、亡国を招くというのです。

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 「菅総理はアホだ」式な批判がありますが、アーレントの説に照らすと、この無駄に多い船頭こそが菅独裁政権の秘訣であり、まさに名前に違わぬ「奸」計に長けた独裁者、カン直人ということなのです。市民運動家の愛読書は「マイン・カンプ」、憧れの人は「アドルフ」かもしれません。さて、ヒトラーは最後には親衛隊さえも信じられなくなり、連合軍によるベルリン陥落直前、愛人を道ずれに自殺という最期を迎えましたが、カン政権はどんな最期を迎えるのでしょうか・・・。


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