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原発消火へ空中から水投下 [稲門機械屋倶楽部]

               2011-03-16 MWE36 村尾鐵男

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 容易に消火できず、容易に冷却水を注入できない福島の原発に空中からヘリコプターで水を投下する案が浮上しています。

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 随分昔のことですが、カナダ製の消防用飛行艇が売り込みのために日本へ飛来したことがあります。今なら小型機と言える双発の飛行艇で、海面とか湖面に着水して胴体内に5トンとか10トンの水を入れて飛び立ち、火災現場の上空へ急行してこの水を投下します。

 当時の東京・台場、今のような華麗な一画に変貌する前の台場に仮設の小屋を建てて火を放ち、この消防飛行艇の威力を見んものと、大勢の消防関係者と、僅かですが航空関係者も待ちました。

 やがて現れた消防飛行艇が炎を上げる仮設小屋の上空で水を投下しました。火災は瞬時に消えましたが、仮設小屋も跡形もなく破壊されました。

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 アメリカやカナダには森林火災の消火に出動する消防用航空機がありますが、日本には本格的な消防機もヘリコプターもありません。可能なのはヘリコプターに水タンクを吊って飛行し、火災現場上空でこの水を投下することになります。

 しかし、水を効果的に火災現場へ集中投下するためには、ヘリコプターの飛行高度を極度に低くしなくてはならず、火災現場上空は空気も乱れていて極めて危険な飛行となります。だからと言って、高い高度から水を投下すると、水は霧状になってしまって、消火効果が大きく低下します。

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 一方、原子炉とかそれを格納している容器や建物の上からの衝撃に対する強度はどれほどでしょうか。

 5トンとか10トンの水を原子炉の上空、高度の低い上空から投下することは、5トンや10トンの重みを直接投下するのと同じですから、この衝撃に耐えられないと、原子炉を含む原子力発電装置が破壊されることになり、より危険な状況に陥る危険性が大です

 水で消火するなら、やはり地上からの注水と散水が最も可能性の高い方法でしょう。


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村尾鐵男

昨夕、陸上自衛隊のCH47型ヘリコプターが水を入れた袋を吊って出動準備を整えたとのTV映像が放送されました。しかし、原子炉上空の放射線量が多く、ヘリコプターによる冷却水投下は中止となりました。
先ず、放射線防護服を着用すると操縦ができません。地上と交信するためのヘッドギアを装着できず、分厚い手袋で操縦感覚が鈍るからです。
CH47型ヘリコプターは国内で得られる最大のヘリコプターで、加えて前後に回転翼(ローター)を装備し、重心移動に対する大きな対応力を持つので、機種選定としては適切です。
by 村尾鐵男 (2011-03-17 08:36) 

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