松陰先生言行録(10) [明治維新胎動の地、萩]
By N.Hori
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下記の本から、松陰先生の教育論(その2)を紹介します。
「吉田松陰 魂をゆさぶる言葉」 関厚夫著 PHP新書より抄訳.
「至誠の人を動かす、百世の下、生色あり」
至誠は、松陰というひとの考え方を象徴する言葉です。至誠という言葉は、わかっているようでわかっていないところがあるような気がします。
ある国語辞典には「きわめて誠実なこころ、まごころ」と書かれています。また、別の時点には「純心な真心、最高の誠意」とあります。
ですから、松陰先生は、「至誠は人の心を動かす」のであるし、そのことは「百世の下、生色あり」、つまり時間を超えて真実である、といわれているのです。
そして、その背景には、「至誠而不動者未之有也(至誠にして動かざる者いまだこれあらざるなり)という孟子の言葉があります。
「天下の事、舌弁辞巧の能く克つ所に非ず、正道を衛るの功、誠に若くはなし」
これもいかに松陰が至誠や誠(おそらく真ということばも同じ意味に使っています)を信じていたか、をあらわすことばです。天下の重大事は、弁舌に長けたり、文章が巧みな人物によって左右されるのではない、天下の正道は誠のある人物によって守られてゆくのである、といった意味でしょうか。そして、松陰は、「誠」ということばを「つまり、君として民に対して仁であること、臣としては君に対し、忠であること、父として子に慈であること、子としては父に対し孝であること。これのみ」と説明しています。
孔子は、「至誠は神の如し」といいましたが、松陰は「至誠は神を感じせしむ」ともいっております。
仏文学者の桑原武夫さんは、「松陰は命を掛けていたから至誠天に通じたわけですけれども。
(11)に続く
NHKの「鶴瓶の家族に乾杯」、先週と今夜はコシノ・ヒロコとの萩探訪でした。
N. Horiさんが暫く前に紹介された萩の全景と海と島が映され、「ああ、Horiさんの萩だ」と思わず声が出ました。
萩焼の窯元が沢山あるのには驚きました。萩の皆さんは落ち着いておっとりとされている様子で、微笑ましく感じます。「いとこ煮」も実物を知ることができました。
萩は半分が現代に在り、残り半分は吉田松陰、伊藤博文、木戸孝允、桂小五郎等と今日も共に生きているようです。でも、意外と若い人が多いのにおどろきました。若者を惹き付ける何かが今も残っているのでしょう。
by 村尾鐵男 (2010-09-13 21:00)