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閑話休題:中国雑感 -2 [稲門機械屋倶楽部]

                                         2010-06-14 WME36 村尾鐵男

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混蛋                                                                                「混蛋」、又は「渾蛋」と書いて、「フンタン」と発音します。フンは語尾が上がり、タンは語尾が下がります。この発音はおそらく北京語のものと思われ、台湾や中国本土南部では「コンタン」と発音されます。「フン」は”hun”で、”fun”ではありませんから、日本人には発音が容易です。「タン」も”dan”ですから、弱く「タン」と発音するだけです。

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話が逸れますが、中国語には、特に北京語には基本的に濁音はありません。「北京」を”Beijin”と書いてあるのを見て、「ベイジン」と発音する人がおり、叉、「哈爾浜」(harbin)を「ハルビン」と読むNHKのアナウンサーもおりますが、あくまでの「ペイチン」と「ハルピン」です。中国人は他人の文字であるアルファベットを剽窃し、これを発音記号にしました。元々から濁音がありませんから、「プ」を強く発音する場合は”P”とし、弱く発音するときは“B”としました。弱い音”J”に対応する強い音は”Q”です。「タ」を強く発音するときは”T”で、弱く発音する場合は”D”です。ところが、中国人は濁音を聞く耳が備わっていませんから、「ベイジン」と発音しても、「ペイチン」と聞こえるようです。

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この「混蛋」は「馬鹿」と言う意味ですが、私達が普段遣う「馬鹿馬鹿しい」とか「馬鹿らしい」とか、或いは、親しい者の間で遠慮なく交わされる「お前、馬鹿だな」とは大いに意味が異なり、中国人相手に、たとえ笑いながらでも「コンタン」とか「フンタン」と発してしまうと、もう二度と会ってくれることもなく、電話を掛けても出てくれません。

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「混蛋」は漢民族にとって最大の侮辱用語で、誰かを刺し殺しても、「混蛋」と呼ばれたことが原因であれば、死一等は免ぜられるとも言われるほどの侮辱用語です。如何に腹が立っても、絶対に「混蛋」なる言葉を発してはなりません。

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最近の新聞で読みましたが、上海万博の入口で行われる手荷物検査があまりにも厳重なので、日本人がつい「馬鹿馬鹿しい」と呟いたところ、その呟きを聞いた中国人達に取り囲まれて憤怒の眼差しで睨まれたそうです。中国人は「混蛋」と言われることに極端に神経を尖らせていますから、その「混蛋」が日本語では「馬鹿」と呼ぶことをかなりの数の中国人が知っております。

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昔、柳家三亀松と言う落語家がおり、高座で三味線を弾きながら唄う都都逸とか新内節が得意で、特に、その静かに切々と唄う新内節の合間に男が女を口説き、女が「ばっかあん~」と小声で応える場面が秀逸でした。日本語の「馬鹿」は三亀松の「ばっかあん~」の意味もあることを私達はよく知っておりますが、中国人にはそこまでの日本語能力はありません。

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中国人の目前では、「馬鹿馬鹿しい」とか「馬鹿らしい」とか、さらには「ばっかあん~」も発してはなりません。中国人女性も優しい小声で「ばっかあん~」とは応えてくれません。中国を訪ねた折には、くれぐれも御注意されんことを願います。

(3)に続く


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