戦闘機のレーダーとソフトウェア -6 [稲門機械屋倶楽部]
2010-05-14 WME36 村尾鐵男
この一文は中国製新鋭戦闘機〔殲J-10〕型の公式発表と輸出に努力するとの報道に端を発しておりますが、〔殲J-10〕型戦闘機がどれほどのソフトウェアを組み込んでいるのか、まったく不明であり、単にその飛行機としての性能だけで米国製F-16型戦闘機に匹敵すると言い切るのは早計であります。
2001年4月1日、中国の南部沿岸部上空で中国国内の無線通信を傍受していたと伝えられる米海軍の電子偵察機EP-3C型機に、中国の戦闘機〔殲J-8Ⅱ」型戦闘機が接近して接触し、中国の戦闘機は墜落し、米国の哨戒機も損傷して海南島に緊急着陸する事件が起きました。.
外交折衝によって、機体と搭乗員は5月24日に返還されますが、その間に熾烈な非難合戦が演じられました。軍事能力の拡大と充実目覚しい中国軍の情報を集めることに米国は怠ることがなく、一方の中国も、米軍機が領空を侵犯したと非難しながらも、米国の最新鋭偵察機が領空を侵すことはあり得ないと知っており、自国の戦闘機搭乗員が無謀な挑発飛行を行ったと認めることができないが故の非難でありました。
2001年も平和な時期でありましたが、平和とは直接戦闘がないだけのことで、熾烈な情報取得の戦いは今日でも続いております。戦闘機に限らず、叉、レーダーに限ることもなく、ハードウェアが持つ能力を最大限に発揮させるには、ソフトウェアの充実を欠かすことができず、そのための基礎情報は平時に手に入れなくてはなりません。
アメリカ軍の戦闘用飛行機とその搭載装置が優れているのは、ハードウェアは勿論のことですが、そのソフトウェアの優秀さにも依ります。.
中国製新鋭戦闘機〔殲J-10〕型は何処の国のどの戦闘機や爆撃機、さらにはどの攻撃機や偵察機を仮想敵としているのでしょうか。もしアメリカ軍を仮想の敵とするなら、それなりのソフトウェアが組み込まれなくてはなりませんが、中国軍はまだその域には達していないと推察されます。
(7)に続く
調布のおじ様、今治Rowingteam様
nice ありがとうございました。
by ぼくあずさ (2010-05-15 06:47)