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風林火山と孫子と呉子 -2 [稲門機械屋倶楽部]

                                         2010-04-09 MEW36 村尾鐵男

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【經之以五校之計。而策其情。一日道。二日天。三日地。四日將。五日法】

〔之を経(ケイ)するには五校の計(ハカリゴト)を以てす。而して其の情を策(モト)む。一に曰く道。二に曰く天。三に曰く地。四に曰く将。五に曰く法〕

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(戦争を始めるとき、五つの重要事項を調べなくてはならない。五つの重要項目とは、一に道、即ち、国家の指導者と国民との志の一致。二に天、即ち、天候と季節。三に地、即ち、地理と地形。四に将、即ち、軍の指揮官の能力。五に法、即ち、国家の戦闘態勢と規律。この五つの項目につき、敵国より勝れば、戦争を始めてもよいが、敵国より劣っていたら、戦いを始めてはならない)

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孫子は戦争を始める前に、重要事項について自国と敵国との間にある優劣をよく見究めよと、至極当然のことを言っております。しかし、永い平和に呆けてしまった私達はこのような視点で日本の周りを見渡すことを忘れてしまい、その具体的な手段も持ち合わせていません。詰まらぬマニュアルやチェックリストは食傷するほどに出回っていますが、国家の危機を調べるマニュアルはありません。

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私は、今のこの時代に、時代錯誤も甚だしいことを書いているつもりはありません。孫子が言う五項目は現在の日本と日本の周辺諸国にそのまま当てはまるものではありませんが、少しばかり視点を変えて、自分の身を外国、それも日本に近い外国に置き、その国から日本を眺めると、上記の五項目はどのようになるでしょうか。

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特に、隙あらば日本の領海や領空へ侵入し、隙あらば日本人を連れ去る国に我が身を置いて日本を観るとどのような結果が出るでしょうか。

残念ながら、少なくとも第一と第五項目について日本は失格であります。今の日本は政治家が極端に劣化しており、私利私欲の政治が罷り通る現状で、たとえ戦争になっても、国民は国家指導者に信を置くことができません。従って、第五項目についても失格となります。

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私達の年代は物心着く頃が戦時下でありました。あの時代の政治家にも諸々の欠陥を見出すことができますが、国家総動員令の下で、上から下まで私利私欲を剥き出しにした者はいませんでした。翻って今日を見るとき、政界には私利私欲と強権強欲が日々蔓延しており、国民を一つの目標に結束させる力が政治にはありません。

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今、戦争を始めようとは思ってもおらず、その必要もありませんが、周辺の幾つかの他国から観たときには、日本は先端技術の宝庫であり、国民は勤勉で高い能力を持っており、貧しく遅れた自国を救うためには、日本はどうしても手に入れたい国です。万が一にも侵略を受けたときに、日本人である私達は一致して立ち上がれるのかと自問すると、国民に号令を掛けて導くことのできる政治家がいないことに気着きます。背筋に冷たいものを感ずるとはこのことでありましょう。

(3)に続く


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