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風林火山と孫子と呉子 -3 [稲門機械屋倶楽部]

                                       2010-04-10 MEW36 村尾鐵男

孫子と並んで呉子がおります。呉子はその名を呉起と言い、孫武よりは少し後の戦国時代の人であろうと思われます。孫子の兵法に較べると、呉子の兵法は謀略に重きを置く部分が多いと言われておりますが、昔から孫子の兵法と併読されております。

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【有不占而避之者六。一曰土地廣大、人民富衆。二日上愛其下、恵施流布。三日賞信刑察、發必得時。四日陳功居列、任賢使能。五日師徒之衆、兵甲之精。六日四鄰之助、大國之援】

〔占わずとも之を避くること六つあり。一に曰く、土地広大にして、人民富衆なり。二に曰く、上(カミ)、其の下(シモ)を愛し、恵施(ケイシ)流布す。三に曰く、賞は信、刑は察、発すること必ず時を得たり。四に曰く、功を陳(ノ)ベ列に居(オ)り、賢を任じ能(ノリ)を使う。五に曰く、師徒衆(オオク)して、その兵精甲なり。六に曰く、四隣の助け、大国の援(タス)けあり〕

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当時は戦いを始める前に吉凶を占ったのですが、呉子は、占うまでもなく、次の六項に該当する場合は戦いを避けなくてはならないと言っております。

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一 敵国の土地が広大で、国民が富んで豊かである場合、

二 敵国の為政者が国民を愛し、福祉行政が行き渡っている場合、

三 敵国では信賞必罰が機を失うことなく行われている場合、

四 敵国には有能な者が大勢おり、賢者を任用している場合、

五 敵国では将兵の数が多く、武器が優れている場合、

六 敵国が周辺国から助けてもらい、大国の援軍が得られる場合。

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翻って我が国の現状を眺め、この呉子の六項目は如何なる状況にあるでしょうか。

第一項  貧富の差が拡大し、国民も国庫も疲弊しつつあります。

第二項  為政者は私利私欲に走り、福祉行政は人気取りのバラマキです。

第三項  高位の者が犯した不条理が見逃され、彼等も逃げ切ろうとしています。

第四項  有能な者は大勢いますが、為政者に賢者不在のため、活かされていません。

第五項  予算を削り、定員割れし、武器は古くなっております。

第六項  自ら大国の援軍を退けんとする愚策が採られつつあります。

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私が近隣某国の指導者なら、日本を攻める準備を始めるよう軍に指示を出したくなります。

(完)
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コメント 1

Takehisa Takayama

呉氏のこと、勿論その言葉も全く知りませんでした。その人間、人間社会に対する洞察力の深さ、確かさには全く圧倒されます。今もその言葉が通用することは、人間は全く進歩していないということでしょうか。今の政治家はこのような古典を読んでいるのでしょうか。半藤一利の昭和史を最近読みました。陸軍の暴走を責めていますが(責めすぎとの反論も出ていますが)、当時の暴走した若手将校、それを止められなかった為政者はこの言葉を知っていたのでしょうか。ことを知っていれば、アメリカとの戦争は起こさなかったことと思います。為政者はその責任を感じ勉強して欲しいものです。

by Takehisa Takayama (2010-04-11 13:56) 

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