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インドネシア点描(16):スカルノとスハルト [稲門機械屋倶楽部]

                                                 ・・・・・2009-1-26 MEW36 村尾鐡男

インドネシアの大統領を論ずるのではありませんから、気軽にお読み下さい。実は、スカルノもスハルトもこれだけでフルネームです。

インドネシアには、世界でも珍しい例ですが、一字姓が多くあります。イスラム圏で通常は、親から授かった名前、次に父親の名前を連ねて自分の名とするのですが、さらには祖父の名前を連ねることもあります。たとえば、モハメド・アリはアリの子のモハメドの意です。インドネシアの一字姓については、私の不勉強のためにその由来を知りませんが、日本でも明治維新前には権兵衛とか八五郎とかの一字姓がありました。インドネシアでも貴族の系譜は二文字以上の姓名を持っていたようです。

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スカルノは1901年生まれで、1945年から1967年までの22年間に及んで大統領として務め、インドネシア独立の立役者として敬われました。

スハルトはその跡を継ぎ、1998年までの30年間を第二代大統領の職にあって、インドネシアの近代化と開発に努めたと評価されています。しかし、この二人の大統領を較べると、興味ある事実に気付きます。

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インドネシアは御存知の通りイスラム教国であり、イスラムの教えで、男は四人の妻を持つことができます。イスラム教圏が部族間の戦いに明け暮れたその昔、戦いで命を失った男の妻達を救うべく妻を四人まで持つことを認めたと聞き及んでおります。但し、四人の妻に対して、金銭のみならず総ての面で公平平等に扱うべしとも定められており、私は財力と体力でとても適わないと自認しており、インドネシアの男達も私が会った者は総て一人妻“でした。

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スカルノもスハルトもイスラム教徒です。スカルノは第一夫人から第四夫人まで、四人の妻を持ち続け、その第三夫人は日本人女性であったことはよく知られております。一方、スハルトは終生一人だけの妻でした。

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親しいインドネシア人と酒抜き、パパイヤジュースのみの打ち明けた話になるとよく聞かされた話があります。曰く、「スカルノは女にはだらしなかった。スハルトは一人の妻だけを大切にした。しかし、スカルノは蓄財に関心なく、現に財産は築かなかった。一方で、スハルトは本人と家族を挙げて蓄財、それも地位を利用した不正蓄財に励んだ」。

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ところで、四人の妻のことですが、第二夫人から第四夫人までの手当てを決め月々渡すのは第一夫人の役目です。第一夫人は、自分よりかなり若い第二夫人から第四夫人までの夫に対する昼夜に及ぶ貢献度と忠実度を常々見定め、支給する生活費の金額を決めなくてはならず、凡婦に務まることではありません。

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今は見掛けなくなりましたが、30年以上も前のジャカルタで、恰幅のいい男が盛装した四人の妻を引き連れて高級レストランで食事をする光景を時折り眺めたことがあります。一人だけの妻でも持て余すことの多い我等日本男児、果たして四人の妻を持つとどうなるのか、想像するだけでも怖ろしいことです。

(17)に続く


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コメント 2

今井 鉄

村尾様
お蔭様で徐々にインドネシアのことがわかってきました。
無数の島をかかえた国がいかに人口や動性を把握して行政を実施できるのか、日本では計り知れないことが多くあるように思います。
民族意識、愛国心なるものはあるのか、また航空機、自動車を製造していることとのギヤップも感じます。昔の日本でもない不思議な国ですね。
引き続き楽しみにしてます。多謝        今井 鉄
by 今井 鉄 (2009-12-08 09:28) 

村尾鐵男

今井鉄様
拙い文ですが、お読みいただき有難うございます。
インドネシアでの自動車生産は圧倒的に二輪車であり、それも日本の三社が独占状態です。四輪車はこれも日本の現地生産が主で、トラックが中心です。スハルトの三男がランボルギーニを買収しようとして話題を呼んだことがありますが、さらに彼は国産車構想も打上げ、親の威光で国家プロジェクトにしようと試みましたが、さすがに賛同する者はおらず、親の失脚と共に立ち消えになったと聞きます。
インドネシアは左側通行ですから、日本車には極めて有利な国です。昔はダイハツ・ミゼットが流行ったことがあり、街中のタクシーはペチャと呼ばれるミゼットでした。私も幾度か乗りましたが、あれで飛ばされると命懸けでした。
by 村尾鐵男 (2009-12-09 15:05) 

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