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創作短編(49):番外編 江戸の珍商売 -1/8 [稲門機械屋倶楽部]

              2012-08 WME36 梅邑貫


時   :江戸時代、主として江戸時代後期
場所  :江戸の街々
登場人物:特定の人物は登場せず、江戸の庶民が主人公です。
参考文献:北嶋廣敏著「大江戸おもしろ商売」(2006 学研刊)


 江戸が百万都市と言われるようになってから、様々な職業とか商売が営まれました。徳川家康が江戸に入った頃は、千名の住人がいるかいないかの寒村でしたが、徳川幕府の統治下、特に戦乱が鎮まったと見た人達が江戸へ殺到し、当時のロンドンやパリを上廻る世界一の都市になりますが、そこには庶民が生きるための弛まざる知恵が覗えます。今の時代からは想像もできない珍しい商売を御紹介します。



とっかえべえ


 江戸の街々を「とっかえべえ、とっかえべえ」と連呼して歩く行商人がおりました。
「とっかえべえ」とは「取替えべえ」で、この「とっかえべえ」は飴を背負っており、古い金属を飴と交換しました。
 
上記の「大江戸おもしろ商売」によると、「とっかえべえ」の始まりは、正徳年間(1711-1715年)に、浅草田原町に住む紀伊国屋善右衛門が紀州道成寺の釣鐘建立に際して、大都市江戸で古金属を集めようと思い立ったのが始まりとのことです。
 鍋、釜、釘、金属であれば何でも飴と交換しましたが、最も多く集ったのは煙管(キセル)の雁首でした。
 山東京伝(サントウ・キョウデン)も「今、江戸に飴と古きせるなどを替へに歩く者あり。とっかへべいと名づく」と書いております。


「久しくなりぬ住吉を飴に替へ」
 
住吉(スミヨシ)とは当時の上野池之端にあった煙管の住吉屋のことで、煙管は住吉とも呼ばれました。この川柳は古くなった煙管を飴に替えた事実を物語ります。


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ぼくあずさ

「とっかえべえ」が江戸で喋られていたのですか。
私には何の抵抗もなく聴きとれます。
by ぼくあずさ (2012-08-02 07:01) 

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