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「健康戦争に打ち勝とう」(産経・2012/7/22)コラム記事の紹介 [明治維新胎動の地、萩]

                  By N.Hori 


低カロリーの和食に守られて日本人は健康長寿、という常識がいつの間にか通用しなくなっているらしい。まずは日米健康比較。新渡戸文化短大の中原英臣学長によると、1970年代から国民の健康増進プロジェクトに取り組んだ日米の成果にこの40年余の間に大差がついている。


例えば、心筋梗塞死。「ヘルシーピープル」運動に取り組んだ米国では35%減らせたが、日本は逆に1.6倍に増えた。ガン死にいたっては、米国は94年から減少傾向に転じたが、日本では3倍に増えたという。その理由を、中原学長は「日本人はどんどん不健康になっているから」と言い切る。

日本男性の肥満率は97年に24%だったが、06年で29%に悪化した。太った一因は運動不足で、成人男子の1日の平均歩数は、この間8202歩から7532歩に減った。
食生活にも問題がある。日本人の平均野菜摂取量は97年の292グラムから06年に267グラムに減った。この間に米国人は野菜摂取に努め、10年に350グラムを突破した。
日本人の運動量、野菜摂取量では、生活習慣病を克服できないのも無理からぬところである。

厚労省が今年初めて公表した「健康寿命」(介護や日常生活に支障が出ない健康を続けられる寿命)は、10年で男性70.42歳、女性でも73.62歳だという。日本は世界一の長寿国というのが私たちの常識であり、誇りでもあった。実際、10年の平均寿命は、男性79.64歳、女性86.39歳である。人生80年時代、女性にいたっては90歳時代も夢でないと思ってきたが、実際に元氣に過ごせる時間はずっと少ない(男性で9.22年、女性では12.77年が不健康期間)と言うことになる。


この健康寿命、単に寿命を延ばすだけでなく、生活の質を重視した健康政策を取るために、世界保健機構(WHO)が2000年に提唱した。しかし、厚労省は冷淡で、ようやく今年になって初めて算出した。13年から始まる第2次健康つくり計画「健康21」で、健康寿命の延び幅が平均寿命の伸び幅を上回る目標設定のために行ったものだが、社会保障費の抑制に真剣に取り組まざるを得なくなったという認識の表れでもあるだろう。
国として、不健康期間の短縮に取り組むのは当然で、対策が遅すぎたぐらいだろう。

米国のヘルシーピープル・フィットネス運動の始まりを経験したフォーク歌手・高石ともや氏は、自らも走り、「一生懸命走っていると、どうしてそんな苦しい顔で走るんだ。楽しく走らないと意味がない、と言われて価値観が変わった気がした」と言う。
米国がヘルシーピープル運動に成功した秘密がわかる気がする。国を挙げて、楽しく運動するムードづくりに成功したのだろう。泥沼化したベトナム戦費を捻出のために国民医療費を削減する目的を持った明確な国策として行われたのである。今、日本の社会保障費の急増は

戦争と同等か、それ以上の国難だと思う。これに打ち勝たなければ、少子高齢化社会の明るい将来はない。我々の年代は、男性の健康寿命を少し
超えましたが、そんな認識を共有して、1人ひとり、食事と運動に注意し、健康寿命を延ばす必要があるのではないか。
                                   完
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村尾鐵男

日本人とアメリカ人の野菜摂取量が逆転したことはよく報道されていますが、日本人(平均体重60kg)とアメリカ人(平均体重80kg)の体重を考慮すると、まだ追い越せる範囲内にありますから、諦めずに努力できる差であろうと思われます。
それにしても、今夏の異常な暑さで野菜が高いままになっています。
by 村尾鐵男 (2012-08-02 07:30) 

N.Hori

海を渡るさん、アルマさん、rtfkさん、hakuさん、nikiさん、niceを有難度うございました。村尾さん、コメントを有難度うございました。
日本人の健康寿命を延ばすには、1人ひとりが健康に注意することが必要だと思います。
by N.Hori (2012-08-03 17:45) 

N.Hori

あゆさこさん、niceを有難度うございました。
by N.Hori (2012-08-12 20:45) 

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