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古文真寶 -2/10 [稲門機械屋倶楽部]

                                          2012-06 WME36 村尾鐵男


春夜 蘇軾(宋)

春宵一刻値千金
花有清香月有陰
歌管樓薹聲細細
鞦韆院落夜沈沈
 
春宵(シュウヨウ)、一刻値(アタイ)千金
花に清香有り、月に陰有り
歌管(カカン)樓薹(ロウダイ)聲(コエ)細細(サイサイ)
鞦韆(シュウセン)院落(インラク)夜(ヨル)沈沈(チンシン)

 蘇軾(ソショク)は宋の時代随一の詩人であり政治家でもあり書家でもあって、唐宋八大家の一人とされており、号は子瞻(シセン)、字(アザナ)は東坡(トウバ)で、蘇子瞻とか蘇東坡の名で数多くの詩文が遺されています。


「春夜」は我が国でもよく知られた詩であすが、意外と正しく読まれていないことが多いようです。

「春宵一刻値千金」の一刻は春の夜の一時ではなく、春の夜は僅かかに短い時間でも千金に値するとの意味です。しばしば一刻を春宵に着けて読まれています。


 樓薹とは小高い場所とか建物のことで、そこから歌や笛の音が微かに聞こえる情景を詠っています。


 鞦韆とはブランコのことですが、この場合は子供が遊ぶブランコではなくて、大人の若い女性が乗るブランコです。院落とは中庭のことで、中庭のブランコが止まったままで、夜が深々と更ける様子を静かに詠んでいます。


 蛇足ですが、中華料理のよく知られた献立に「東坡肉」があります。「トンポーロー」と呼ぶ豚肉の角煮のことですが、蘇東坡が自ら考案して作ったとか、蘇東坡が詩の中に詠み込んでこの名が付けられたとも伝えられています。中華料理の「東坡肉」を食べるときは蘇軾の「春宵一刻値千金」に想いを馳せて下さい。


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