SSブログ

奇怪な北朝鮮軍 -4/4 [稲門機械屋倶楽部]

                                           2012-05 WME36 村尾鐵男


最早、党は軍を統御できず、軍が党を支配

お断りしておかなくてはなりませんが、私はハングル文字をまったく知らず、読むこともできません。さらに朝鮮半島関係の文献を入手する手段もなく、専ら日本国内で出版される日本語の文献に頼っています。

先の重村智計教授が書かれていることですが、北朝鮮の朝鮮労働党の党規約が昨年に改定されたそうです。
改定前は、「党は軍を指揮し、朝鮮人民軍は党の軍隊である」と明記されていました。ところが、昨年の改正で、朝鮮人民軍は「党の軍隊である」との規約が消え、「軍は首領の軍隊である」と改定されました。

旧ソ連でも今の中国でも、さらには蒋介石時代の台湾でも、一党独裁国家では「軍は党のものであり、党は軍を指揮統制する」のが当たり前です。軍の統帥権は厳然たる事実として党が持ち続けました。


では、北朝鮮の「軍は首領の軍隊である」の「首領」とは誰を指すのでしょうか。まことに驚くべきことに、首領とは金日成です。その金日成は1994年7月8日に死亡しています。重村教授によれば、この不可解な規約は「金日成の名の下に、軍は軍自身で決める」と解釈するそうで、さらに、旧規約の「党国防委員会は軍を指揮すると」との表現が消えて、改定後は「党国防委員会は軍を党的に組織指導する」となり、「指揮」が消えました。又、「党的」とは思想教育を意味し、党が軍の統帥権を失ったことを物語ります。金成恩は党軍事委員会の副委員長に就任したようですが、この改正規約の下では、単なるお飾りに過ぎません。


三代目の金正恩は軍を統制できるのかとの疑問は消えません。二十歳代半ばの金正恩を背後で支えるのは金正恩には叔母に当り、党の軽工業部長の金敬姫とその夫で党行政部長の張成沢で、この二人が軍の長老達から「金成恩を後継者」とする了解を得たと伝えられます。

これが事実であるとすれば、金成恩が北朝鮮に君臨できるのは軍の意向次第であり、軍の意向によっては引き摺り下ろされることも十分にあり得ます。


nice!(6)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 6

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。