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中国共産党の権力闘争 -4/7 [稲門機械屋倶楽部]

               2012-05 WME36 村尾鐵男



中国共産党中央政法委員会

 冒頭に掲げた政治局常務委員会の序列九位に位置する周永康は党の政法委員会の書記を務めています。
 この政法委員会は、日本では注目する人が少ないのですが、人治国家と言われる中国では、特に中国共産党による独裁統治体制を維持するには極めて重要で、政治の要ともなる組織です。

 中国では法による定めがない領域や法の解釈で問題が生じたとき、その問題を解決するのが党中央政法委員会で、その地味ではありますが、頗る重要な部門を掌握しているのが周永康です。
 周永康は江沢民・太子党派に属し、薄煕来は同じ派閥に属する周永康の事前了解を得たか、或いは、法の曖昧な部分の解釈を周永康の判断の下で、強引な統治手段を実行に移したと考えられます。


 中国は、法治国家ではなくて、人治国家であると言われています。しかし、私はもう一歩進めて、中国は敢えて法の整備を行わないか、意図的に遅らせていると考えます。
 法治国家である日本では、五億円の収賄を受取ってあの田中角栄が訴追されて政治生命を失いました。他にも多数の政治家が、主として賄賂を受取ったことに絡んで訴追され、実刑判決を受けた者が少なからずおります。

 中国は中国共産党による独裁国家です。独裁国家では、法を完備して厳しく施行すると、ときに党幹部や政府の高官には困る事態も起きます。それを避けるためには、法は敢えて完備しないか、如何ようにも解釈、即ち、都合の良いように解釈できるように、法は曖昧にしておく方が得策です。

 その中国で、法の定めの無い部分や法の曖昧な部分を、その時々の政治情勢や派閥間の消長を眺めながら決断を下すのが党の中央政法委員会で、その長が周永康です。
 胡錦濤・温家宝派にとって、政治局常務委員会で政法委員会の地位を持てなかったのは長い間の痛手となっていたでしょう。この周永康を牽制することは江沢民・太子党派への最大の攻撃です。


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