SSブログ

創作短編(44):直江兼續が詠む漢詩 -3/12 [稲門機械屋倶楽部]

                                  2012-02 MWE36 梅邑貫

織女惜別
二星何恨隔年逢
今夜連床散欝胸
私語未終先酒涙
合歓枕下五更鐘 

織女惜別(ショクジョ・セキベツ)
ニ星(ニセイ)何(ナン)ぞ恨(ウラ)まん隔年に逢うを
今夜連床(レンショウ)欝胸(ウッキョウ)を散ず
私語未だ終わらず先ず涙を酒(ソソ)ぐ
合歓(ゴウカン)枕下(チンカ)五更(ゴコウ)の鐘。 
二星とは七夕の牽牛と織女の星のことです。隔年とは一年おきではなく、一年を隔てての意味です。
連床とは、床を連ねる、即ち、男女の床を並べることです。欝胸とは、憂いに満ちた心の内です。
私語は愛の囁きで、「私語」が「情話」と替えられている文献もあります。
「酒(ソソ)ぐ」と書いて、注ぐとは書かないところに直江兼續の漢詩研鑽の跡が覗えます。何かを洗い清めるのに、水を注ぐよりは酒を注ぐ方がそれらしい気分になります。
合歓とは、男女が睦み合うことで、勿論、夫婦でも構いません。枕下とは枕元のことで、五更は午前三時以降、午前六時頃までの時刻帯のことです。 

野暮な現代語訳は避けます。兼續と船(セン)はまことに仲睦まじい夫婦で、直江兼續ほどの武将としては珍しく側室を生涯に及んで持たなかったほどに仲の良い夫婦でした。その直江兼續からこのような漢詩が生まれたことは、研究者達が頭を抱える難問となっており、研究者の内には、直江兼續はお船の方の目を盗んで、何処かに愛妾を抱えていたのではないかと邪推する者もおります。しかし、その愛妾も如何に探しても突き止めることができません。

nice!(8)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:blog

nice! 8

コメント 1

hanamura

ソノ研究者達は、皆さん浮気している?(笑)
by hanamura (2012-05-13 11:14) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

沖縄県営鉄道玉縄城築城500年 -2/2 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。