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 「高齢化社会にまつわる3つの勘違い」の紹介2/2 [明治維新胎動の地、萩]

                                         By N.Hori

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(高橋泰著・ウェッジ12/4号)

 日本社会は、今後、20年弱の間、爆発的に増加する大都市の後期高齢者の対応に、持てる力を集中せざるを得ない状況にある。緊急を要する大都市の高齢者対策をこれ以上遅らせてはならない。

 特に東京23区内は、後期高齢者一人当たりの特別養護老人ホームや老人保健施設のベッド数が、現状でも全国平均の半分程度の水準である。加えて、後期高齢者は今後20年間で7割以上の急増が見込まれる。都内に住む後期高齢者は、現在でも施設入所が容易ではないが、今後はますます困難になっていくだろう。東京の住民が余力のあるうちにお金を持って高齢者の受け入れ施設の余裕がある西日本や海外へ引っ越しすることは、有力な老後対策の一つだろう。

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 全国的に見れば、10~35年にかけて日本の総人口は、13%減少すると予測されている。一方、高齢者人口は、2945万人(10年)から3728万人(35年)へと27%も増加する。だが、全国一律ではなく地域によって人口推移のパターンが驚くほど大きく異なる。

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 10年から35年の高齢者の増加率は、石垣(沖縄)が72%、豊田(愛知)、宜野湾(沖縄)、筑紫野(福岡)、木津川(京都)なども66%以上の増加が予測されている。一方、輪島(石川)、佐渡(新潟)は25%以上減少、高梁(岡山)、釜石(岩手)、室戸(高知)も20%以上の減少が予測されている。

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 後期高齢者の地域の地域差はさらに大きい。春日部(埼玉)は139%も増加する。厚木(神奈川)、豊田(愛知)、成田(千葉)なども130%以上増加すると予想される。一方、佐渡(新潟)、輪島(石川)、高梁(岡山)、大田(島根)は10%以上減少することが予測されている。

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 このように、高齢化を「全国一律」の問題と考えるというのは勘違いである。国がこの認識に基づき、高齢者対策を全国一律に進め、地方もそれを受け入れようとする傾向がある。

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 その結果、施設建設が困難な大都市の高齢者増に適した「在宅ケア推進」という政策が、地域性をあまり考慮せず、全国一律に施行され、人口密度の低い地域では、採算割れにより在宅ケアが継続できなくなる事業所が続出する可能性が高い。

 今後は、高齢化を「地域固有」の問題と捉え、都市には都市の、過疎地には過疎地の人口動態や人口密度に応じた対策を早急に用意すべきである。時間は待ってくれない。

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 適切な提言だと思います。


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ぼくあずさ

興味深い記事でした。
「対策を用意すべきである。」でお終いにしないで、具体的な提言をして世論を喚起するなどの次のステップを続けて欲しいものです。マスコミと政治家を動かすことなしに、なんの対策も立たられないと思えるからです。
by ぼくあずさ (2012-04-11 09:51) 

N.Hori

裏・市長さん、海を渡るさん、あゆさこさん、kiyoさん、カリメロさん、rtfkさん、夏炉冬扇さん、ばんさん、アルマさん、ENOさん、niceを有難度うございました。ぼくあずささん、コメントを有難度うございました。
by N.Hori (2012-04-14 10:49) 

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