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「高齢化社会にまつわる3つの勘違い」の紹介1/2 [明治維新胎動の地、萩]

                                         By N.Hori

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(高橋泰著・ウェッジ12/4号)

 国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野責任者・高橋教授の上記の論文で、高齢化社会の将来について、3つの国民の勘違いを指摘して、適切だと思う提言をしていますので、抄訳を紹介します。

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 多くの国民が勘違いしている状況は「日本では、これまで世界が経験したことのないスピードで高齢化が進んでいる。このまま進行すると現役世代が支えきれなくなってしまうのが明らかなので、現在、税と社会保障の一体改革が議論されている。今後数十年、日本中で高齢者が増え続け、特に高齢化が進んでいる過疎地を中心に、全国共通の問題として早急に対策を進める必要がある」

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 勘違いが潜んでいるのは

    後数十年、高齢者が増え続ける

② 高齢者対策は過疎地中心

③    齢化を全国共通の問題という、3つの認識にある。

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 国民が勘違いしたままだと、今後数十年増え続ける高齢者に対応するため、従来通り、全国一律に施設整備に継続すべきという結論に達する可能性がある。

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 まず、将来を予測する中で信頼性が高い(よほど画期的な人口政策が採られたり、戦争でもない限り)のは「人口データ」だが、それによると、65歳以上の高齢者は2020年後を過ぎるとほとんど増えなくなり、30年過ぎには、75歳以上の後期高齢者が減り始める。

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 高齢者が増えなくとも、非高齢者(64歳以下)の人口が、05年以降、減り続けているので、高齢者率は上昇することを、高齢者数が増え続けると勘違いしているのである。

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 日本は生産年齢(15~64歳)人口の減少に直面しているが、世界には生産年齢人口が増えすぎ、若者の失業問題に困っている国も多い。そろそろ、我が国も若者の労働力を輸出したい国からの効果的な労働力の受け入れを本気で検討する必要があるだろう。

また、社会に対してできる限り負担をかけない老い方、死に方を受容する方向で、国民一人ひとりの意識変革も必要になってくるだろう。

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 次に、数年前までは「高齢化=過疎地の問題」という見方は正しかったが、05年頃から都市部の高齢化のスピードが急上昇を始め、逆に地方の高齢化率の伸びが緩やかになってきており、高齢化が都市部の問題になりつつあるのだが、まだ多くの人がこの現実を認識していない。10年~25年にかけて、全国で700万人の後期高齢者が増加するが、その50%以上が日本の国土のわずか2%に相当する首都圏、大阪圏、名古屋圏に集中する。一方、地方では、後期高齢者人口がこれから減少に転じる地域も少なくない。


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村尾鐵男

N. Hori さんが指摘される通り、率の増減と実数の増減は別のものです。しかし、特定の意図を持つ政治家や官僚にとって、この二つを巧みに使い分けて世論を導こうとします。
分数や統計数学を苦手とする大学生が増えているそうですが、ますます操られ易い日本人が増えそうです。
by 村尾鐵男 (2012-04-10 18:54) 

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