SSブログ

磨耗と腐蝕と疲労との闘い -6/11 [稲門機械屋倶楽部]

                                 2012-03 WME36 村尾鐵男

.

.

飛行時間と飛行回数

.

 アロハ航空の事故の後、当然でありますが、米国連邦航空局(FAA)や国家運輸安全委員会(NTSB)の事故調査が始まり、事故に遭ったB737-200型機、登録番号はN737-11ですが、この飛行機の金属疲労が極限に達していたことを指摘しました。

.

 先ほど、この事故機は飛行時間に較べて飛行回数が多いと記しましたが、飛行時間33,133時間を飛行回数89,090回で割り算をすると、飛行一回の飛行時間は0.37時間、僅かに22分か23分に過ぎません。

.

 飛行機はその累積飛行時間が大きくなると老朽化を避けることができませんが、飛行回数も老朽化や金属疲労の重要な要素となります。飛行回数とは即ち離陸回数であり、着陸回数でもあります。

離陸回数は離陸に際してエンジンを最高の回転数で回転させた回数でもあり、これはエンジンの大きな負荷ともなります。

.

飛行機の乗られた方はよく御存知のことですが、着陸に際して、一切の衝撃なく滑らかに接地することは滅多になく、必ず衝撃が伴います。さらに、最近の着陸方法は、昔のような滑らかな接地は行わず、着陸後の地上滑走距離を短くするために、滑走路面に叩きつけるように「ドスン」と接地させ、ときには “Hard Landing” と呼ばれる乗客を驚かす着陸となることもあります。この着陸と接地の度に機体は衝撃を受け、単に脚柱のみならず、機体全体がその衝撃の影響を受けます。

.

機体への衝撃は長年に及ぶ繰り返しの衝撃でもありますから、機体各部の金属は次第に疲労し、疲労が進むと亀裂(クラック)が生じます。

.

 金属部材に生ずる亀裂は突発的、或いは疲労によることのない単発的なものもあるのですが、金属疲労によって生ずる亀裂は部材の長い方向へ縦に途切れ途切れに走るように生ずるのが特徴です。

.

 アロハ航空の事故機から、FAANTSBは、この縦に走る亀裂を多数発見し、アロハ航空の整備陣が発見できぬままに亀裂が多数生じていたことが事故の原因であると断定しました。


nice!(7)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:blog

nice! 7

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。