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「卵と放射線」 (上智大学名誉教授渡部昇一著)の紹介 -1/2 [明治維新胎動の地、萩]

                      By N.Hori

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倫風誌・2012年2月号

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「卵を食べるとコレストロール値が上がるよ」と医者から言われた人は少なくないだろう。

この根拠は、1908年頃のロシアのアニチコフのウサギを使った実験結果による。ウサギはそもそも卵を食べない動物だから、卵を食べさせれば、コレステロール値が上がるのは決まっている。犬なら卵を食べさせてもコレステロール値が上がることはない。コノコレステロール神話を検証するため、国立栄養研究所で、ヒトに毎日10個ずつ卵を食べさせる実験を行ったが、有意な上昇は無かった。人間は草食動物でないから当然だが、多くの医者は、100年前のコレステロール神話を言い続けている。

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このことから、次のような空恐ろしいことが分かる。

1)世の中には草食動物に、動物性コレステロールの豊富な卵を食べさせてデータを採るような実験があること。

2)そのデータを動物性食物を食べる雑食性の人間のコレステロール値の話に適用する者がいること。

3)このおかしな、全く非科学的、非医学的なデータが、世界中の医学界で100年以上も、人間の患者に対して用いられ続けられてきていること。

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これで連想させられたのは、福島の原発放射線問題である。それは、卵とコレステロール値の話と構造が似ているのだ。

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「放射線照射による染色体異常は放射線の量に比例する」という論文をアメリカのマラー博士が発表したのは1927年である。この論文は、1946年、つまり広島、長崎に原爆が落とされた翌年の昭和21年にノーベル生理・医学賞が与えられた。アニチコフの実験と同じく、データそのものに嘘はない。問題はどういう動物を実験に使ったか、である。


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コメント 4

N.Hori

xml xslさん、あゆさこさん、アルマさん、夏炉冬扇さん、ねじまき鳥さん、rtfkさん、niceを有難度うございました。著者の渡部昇一さんは、いい加減なことを書く人でありませんから、ちゃんとした情報源を持っていると思います。そのような情報源が隠されていることの方が問題だと思います。
by N.Hori (2012-03-19 08:04) 

村尾鐵男

私達70歳代半ばの者にとって、終戦直後、卵は貴重品に近い存在で
したが、ほどなく卵はコレステロールを上げるとの説が流布されました。
貴重な卵を食べさせないための政治的なプロパガンダかと思いました。
1日に10個もの卵を食べることはなくとも、今や1個が10円の時代、それでも無駄にはしたくないとの気持ちもあります。
さて、本文の続きが期待されます。
by 村尾鐵男 (2012-03-19 09:01) 

ぼくあずさ

終戦直後の焼け野原の東京・田端で鶏と番いのアヒルを飼っていました。
アヒルは大変賢いい動物で、今でもよく覚えています。

by ぼくあずさ (2012-03-19 09:25) 

ぼくあずさ

N.Horiさん
ニチコフやマラーの名前を初めて聴く私ですが、コレステロールや放射能
で検索すると沢山ヒットしますね。Wikipediaは内容が詳しく、信頼性が
高いのかと思うのですが、こと医学に関しては多数の筆者の寄せ書きの
様で注射・医者・薬嫌いの私の理解を超える代物です。それで、貴兄の解説は極めて貴重な情報源です。

人間の身体自体は御当地が栄えた鎌倉時代と然程変化しえていないので
しょうが、生活環境や食べ物など激変していますね。病気嫌いで済まない年齢になりましたので、貴兄の”健康シリーズ”の記事に今まで以上に関心を寄せたいと思います。

by ぼくあずさ (2012-03-19 12:12) 

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