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Subject: パンタグラフのこと [和田の泊りより]

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村尾さん

パンタグラフの数に付いてのお訊ねですがこれは車輛の技術と言うよりは地上側の設備の改良によって可能となったものです。

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御承知の通り鉄道を交流電化すると周辺で電磁誘導障害が発生します。これを避けるために架線の電流とレールを流れる帰線電流が逆向きであることを利用してレールを流れる電流を別の電線に吸い上げ、これらを近ずけて相互の誘導作用を打ち消し合う方式が取られました。

この帰線電流を吸い上げる為に約4kmおきに架線を絶縁し、この間にブースタートランスと呼ばれる巻線比1:1のトランスを置いて、このトランスの一次側の両端を絶縁されて向かい合った架線にそれぞれ結び、二次側を上記の帰線電流用の電線に接続しました。

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問題はこの架線のセクション間のギャップでこれは前にお話しした無電圧区間ではなしに架線を並列に配置し、この間を離したエアギャップと称するものでパンタがこの部分に進入すると両区間が短絡され、また離脱時には負荷電流をパンタで遮断することになり過大なアークが発生します。このアークにより架線が切断する事故が多発した為に新幹線の0系ではそれぞれのユニット独立させそれぞれにパンタをのせたのです。0系は2両で1ユニットでしたから16両編成では8基のパンタが必要でしかも独立しているので高速走行時の離線率が高く、夜、新幹線が走っているのを見ると花火のようでした。

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そこでこの対策としてBTの代わりにオートトランス(AT)と呼ばれる単巻変圧器を置き中間タップをレールに両端をそれぞれ架線と帰線に接続しました。このコイルの両端は交流電源にも接続されています。

これで架線とレールの間を正規の電圧にすると送電電電圧は2倍となるので電流が半減し変電所の数を減らす効果もあります。

この方式を採用することによりブースターセクションを通過する際のアークの発生が抑えられることになりパンタ間をBus Line でつなぐことにが可能になりパンタの数を減らす事が出来ました。

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(700系では5号車と13号車の二か所のみ)車輛側でのパンタの問題は電気的には余り問題は無いのですが、問題は何と言っても高速走行時の風切り音でこの為にパンタの小型化パンタカバーの設置等色々な対策が取られています。あと車両間の電線を切り離すのが面倒なのが一寸した問題で全般検査など一両ずつ切り離すのに手間が掛かります。

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以上端折って書きましたので判り難いかと思いますので詳細は下記サイトをご覧下さい。

                                                                    月川@神戸

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http://ja.wikipedia.org/wiki/BT%E9%A5%8B%E9%9B%BB%E6%96%B9%E5%BC%8F


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村尾鐵男

月川さん、度々お教えいただき有難うございます。
見るべき人が見れば見えるのでしょうが、私の如き月並みな鉄道利用者には驚く技術の結集です。
電車は車輌とレールと架線があれば走ると思っていましたが、上記の添付サイトを読み、目に見えぬところに工夫の粋があると知りました。
パンタグラフの数を減らすのは、単にコストの軽減と摩擦抵抗を減らすだけと永年思い込んでいたのですが、そう言えば、最近はパンタグラフから火花が飛ばないことに思い至りました。
by 村尾鐵男 (2012-03-08 07:49) 

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