中国は何処へ -9/10 [稲門機械屋倶楽部]
2012-02 WME36 村尾鐵男
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馬上得天下
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「馬上得天下」は日本語では「馬上で天下を取る」と読むのですが、要するに武力で政権を奪うことです。
「馬上得天下」の語源は司馬遷の史記「陸賈傳」にあるのですが、劉邦が熾烈な戦いを経て漢王朝を建てたものの、勉学を欠いていたとの記述に由来します。
毛沢東が中国共産党を率いて蒋介石から政権を奪ったときも、「馬上得天下」と高らかに言っております。
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中国の長い歴史を振り返ると、伝説の古代王朝である尭、舜、禹の時代を除いて、悉く「馬上得天下」であって、禅譲はありません。但し、気を着けなくてはいけないのは、中国各王朝の正史には、前の王朝から禅譲を受けたと記し、あたかも平和裏に王朝が交代したかに装っていることです。王朝の正史は次の王朝が編纂するので、自分の都合が良いように書き、不都合な事実は記されずに隠されるか、歪曲されます。
さて、話を戻しますが、今さら言うまでもなく、中国には政権交代の仕組みや方法がありません。
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現在の中国共産党政権も同じで、政権交代の規則もなく、又、その方法が論ぜられたこともありません。中国では、一度手にした政権は行き詰って数々の矛盾が露呈し、民衆の不満が極致に達し、ついに新しい勢力の武力で叩き潰されるまで続きます。
今の中国共産党政権は、「馬上得天下」だけでなく、「馬上治天下」、即ち、武力で統治を続けています。
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日本の場合、政権交代は国民による選挙で行われるもので、誰も疑義を挟まない方法として確立されています。しかし、昔の日本では、源平の合戦や関が原の戦いで見られるように、政権は「馬上得天下」で決められました。
ところが、鎌倉時代に既に格言として語られているのですが、「馬上天下を得るも、馬上天下を治むるべからず」が為政者の心構えでもあり、中国とは大きく異なります。
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