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日本の底力に紹介したい記事4-1 TPP、農業再生の条件  [明治維新胎動の地、萩]

                                  By N.Hori

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(日経、2012/02/10-12

日本の農業の平均年齢は65.8歳に達し、担い手不足は深刻化していると言われるが、現在の延長には衰退しか見えない時こそ、改革をすれば、明るい未来が描ける。TPP参加で自由化をバネにして発想を変えた対策をすれば、農業は成長産業となり、若い人の雇用の受け皿となり、日本の底力となると思います。現状の問題の指摘から説明します。

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1、農地の固定資産税は他用途に比べて低いだけでなく、農業を続けることを条件に、相続税や贈与税の支払いも猶予されている。この恩典を止めて、他の産業と同等にして、参入制約も止めて、やる気のある人材の参入を認め、競争状態を作り、規模の拡大(現在の農地面積(平均2ha)は、農業国フランスの1/20以下だが、後述の基本方針では20~30haに拡大するのが目標)をすれば、国際競争力を持てる。

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09年に農地法が改正され、企業が農業に参入する際の要件を緩和したが、参入企業51社の平均耕作面積は12haでまだ小さく、全体の0.2%弱だ。

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「地価が高いが、農地の所有に負担がほとんど掛からないのでは、高齢で後継者がいない兼業農家でも離農するのがまだ少ない。 

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2、 農業補助金を国際的な水準に下げ、対象を意欲のある生産者に絞る。農業以外の収入の方が多い兼業農家は除外する。

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山形県鶴岡市周辺の専業農家が集まって設立した「庄内こめ工房」では、コメの生産コストを削減するためにグループ会社をつくった。現在のコスト1俵(60kg)あたり1万4千円。これを1万円以下に引き下げるのが目標だ。

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三菱商事と提携して新技術を開発。今年は肥料をまく回数を減らす。これで500円削減できる。田んぼに種子を直接まき、田植えの手間も減らす。同工房のコメは減農薬のブランド米で高級品として人気が高い。それでも、社長は「外国産のコメに勝つには、値段を下げないと」と話す。

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3、農林水産省は「コメが完全自由化すれば、国内消費量800万トンの9割が輸入米に変わる」とTPPに反対を表明しているが、これには2つのマヤカシがある。

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1つは、意欲のある国内コメ農家を考慮せず、外国産の実力を過大評価いていること。

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もう1つが「コメ=日本農業」との論法で、「コメ自由化で日本の農業は壊滅する」。

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日本の農業の実態は、農業生産額の8割が野菜,果実や畜産で、コメは2割にすぎない。

それでもコメが注目されるのは、過度に保護されているコメ農家の数が生産額に比べて極めて多いためだ。コメ農家の数は全体の半分弱の116万戸。しかも、このうち94万戸が農業以外の所得の方が多い兼業農家だ。民主党政権が打ち出した戸別所得補償は、規模にかかわらず補助金を支払う。4割が耕作面積平均2ha以下の農家に回る。これらの農家が自由化に反対し、政治に選挙の圧力をかける。政治はそれを恐れ、多くの国民を無視して、コメの聖域扱いを続ける。2011年10月にまとめた農業漁業再生基本方針では、1戸当たりの耕作面積を20~30haに広げることを目指す。

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ちなみに、現在、海外産のコメに日本の市場を席巻する力はない。日本人が好む短粒種は米国の全生産量の1%。世界の市場で流通する規模でも10万トン程度とみる。

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300万トン程度とされる外食や総菜の需要の一部を満たすにすぎない。


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村尾鐵男

昭和50年頃だったかと記憶しますが、異例の冷害で米の出来が悪く、緊急輸入されたタイ米を食べたことがありました。米が不足していればこそ我慢して食べたのですが、やはり日本人には細長い外米は向いていないと実感しました。
東南アジア諸国を幾度も訪ねましたが、インド系の米粒が長くてパサパサとした米が向くのは炒飯とカレーライスだけでしょう。
日本産の米と同じなのは台湾の蓬莱米だけです。日本の米農家はもっと自信を持って欲しいと望みます。米が自由化されても、日本人は日本の米を食べ続けます。
by 村尾鐵男 (2012-02-17 19:00) 

N.Hori

アルマさん、海を渡るさん、あゆさこさん、rtfkさん、niceを有難度うございました。村尾さん、コメントを有難度うございました。 この記事は、新聞記事から問題点の指摘だけを引用し、対策らしいことは、ほとんど私見とすることを試みたものです。
by N.Hori (2012-02-18 19:20) 

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