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欧州危機 2/14/2012 [サンアントニオ短信]

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2月6日日経ビジネス、ダボス会議の記事にハーバード大学歴史学教授の談話がありました。 Niall Furguson、英国人ですが、面白い談話でしたので引用します。 

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”欧州危機は、西洋文明の衰退というもっと大きなストーリーの一部で、流れを反転させるのは難しい。 

人口減少と福祉国家の崩壊、さらに言えば、制度の退廃、労働倫理の悪化、競争力低下、科学的先進性の喪失など、多くの先進国が抱える問題が危機の根底にある。 

危機が始まったのは、アテネとローマだった。 西洋文明は、発祥したまさにその場所で終わろうとしているのかもしれない。“ 

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悲観的な状況のなかで、悲観論を述べるのは易しいとの批判はあるかもしれませんが、彼の指摘する欧州の問題、かなりの部分日本にも当てはまります。 

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ファーガソンの談話について、ロンドンのコンサルタント仲間とSkypeで雑談をしましたが、この談話と同じ認識を持っていました。 英国では生産性向上も望めず、先行きは悲観的。

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彼が今英国で問題になっている中近東からの不法移民Abu QatadaWikipediaあり。)の本国送還に絡む問題を指摘していました。 彼は不法入国、テロリストで、彼の母国への送還をめぐってEU司法機関、英国リベラル陣営から反対があります。 この問題に保守、リベラルで意見対立があるのは、米国のメキシコ人長期不法滞在とその本国送還にも同じ議論があります。 日本にとっても人口減に対しての解決策して進行している移民受け入れ、不法滞在も厄介な問題です。

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日本の対応。 言い古された通貨供給量を増やし、円安に誘導。 地方分権、公務員制度改革を含む小さな政府への移行。 技術のある中小企業の育成。 ギリシャで公務員などが抵抗しているいわゆるエンタイトルメント(entitlement:権利。米国では年金、健康保険などの国の給付)調整も必要でしょう。


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ぼくあずさ

興味深い記事。欧州危機の最も悲観的なことは民族移動(不法移民を含む)と国家間の経済格差の存在。モノ、カネの移動の国際化はバブルを生み、拝金主義がモラル低下を招いた。イラン・北朝鮮の核開発阻止の実力行使は良し悪しは別にして、大きな痛みを伴うが膨張国家の野望を砕く。
EU連邦制の期待もあるが民族と宗教の違いは克服できない。また、大統領が大きな権限をもつ仏が主導して仏中世界制覇を目論む危険がある。
by ぼくあずさ (2012-02-14 09:31) 

村尾鐵男

清朝末期の政治家でもあり学者でもあった梁啓超(1873-1929)が四大文明説を唱えました。即ち、メソポタミア、エジプト、インダス、黄河の四大文明です。
現在の中国共産党政権は、この四大文明の内、黄河文明のみが滅びることなく永続していると自慢し、日本人学者にも同調する者が少なからず存在します。
しかし、現実には黄河文明はとっくに消滅しており、中国人得意の改竄された歴史でのみ生き残っているに過ぎません。そもそも、中華文化はあっても、中華文明は存在しません。
文明は、悲しいことですが、いつかは消滅します。西洋文明も例外ではなく、未来永劫に存続することは適わず、いつかは消えるでしょう。何故、文明は消えるのか。
経済学者や科学者に代わって、哲学者の登場が期待されるのですが、どうも人間が働かなくなると文明は衰退を始めるようです。
by 村尾鐵男 (2012-02-14 11:41) 

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