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日本の底力に紹介したい記事 -2 (2012/01/08日経) [明治維新胎動の地、萩]

                                  .by N.Hori

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「ものつくり 世界一の品質」の記事です。

日本製鋼所の主力工場「室蘭製作所」で、最大で600トンに達する巨大な鉄の塊を大型機械で加工して、原子炉の部品や、発電所のタービンで高速回転するローターシャフトといった、様々な鉄鋼部品を作る。ここで生み出される原子炉圧力容器などの部材は、世界中の原子力発電所に納められ、「室蘭製作所が無ければ、原発は造れない」と言われるほどだ。

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原発関連の受注は減るが、火力発電所向けの大型部品など、海外企業の追随を許さない製品を手がけている。この工場が得意とするのは、継ぎ目のない一体構造の部材を作ることだ。

インゴットと呼ばれる均質な鉄の塊を作り、真っ赤に焼けた鉄を大型ハンマーなどで鍛錬しながら巧みに形を整えてゆく。欧州のライバル企業は巨大な製品を小分けして作り、溶接でつないで完成させている。

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日本製鋼所が溶接なしで、一体的に作ることにこだわるのは、信頼性の高さを顧客に示すためだ。しかし、製品が大型化するほど必要なインゴットも大きくなり、これを扱う技術は格段に難しくなる。工程一つ一つが経験に裏打ちされたノウハウの固まり。大型の鋼製品を手がけ始めた中国や韓国企業との違いはそこにある。

同社はより大きな製品を作るため、従来よりも1割強大きい670トンのインゴットを昨年製作した。出力170万KW級という世界最大の発電所のタービンのローターシャフトが作れるようになった。工場は進化を続け、ライバルを引き離そうとしている。

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福島県いわき市で、世界でも珍しい方式の石炭火力発電所が動く。電力9社とJパワーが共同出資するクリーンコールパワー研究所が運営する石炭ガス化複合発電(JGCC)の実証機(出力25万KW)だ。

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JGCCは、石炭をガス化してガスタービンを回す。さらに回収した熱で蒸気タービンを動かし、高効率の発電が出来る注目の技術だ。欧米にも数プラントがあるが、トラブル続きで計画通りの発電できているところが無い。プラントは三菱重工が担当し、07年に稼働し、世界最速(2年半)で5000時間の長期耐久運転を達成した。発電効率は約43%で、従来型の石炭火力より燃料を約2割削減、新鋭のタービンを使えば、効率は50%を超えると言う。プラントが順調に立ち上がった理由について、関係者は、「部品一つ一つの品質が高いこと、それらを組み合わせる技術の摺り合わせがうまくいき、システム全体がスムースに動いたと語る。

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 火力発電の性能を高める技術では日本が先頭を走る。来年稼働する関西電力姫路第2発電所の天然ガス火力発電では、世界最高の60%の効率の達成を目指す。


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ぼくあずさ

堀さん
日本製鋼室蘭にはタービン軸鍛造品の件で訪ねたことがあります。
確か学友のMさんが就職したと記憶しています。
JGCCは技術もさることながら、日本の電力事業者がJパワーを中心に
共同で実用化プラントを建設し、運転技術を習得するシステムが日本の
発電技術を高めました。民主による電力解体など論外です。
試運転中の石炭ガス化プラントを随分と昔に宇部興産で見学しました。
おカネのかかる設備ですから、今の様な石油価格高騰時でないとペイ
しないと思われます。
by ぼくあずさ (2012-01-17 09:31) 

村尾鐵男

日本製鋼は、あまり知られていないのですが、Armour Plate、装甲鋼板の製造でも存在感があり、おそらく我が国唯一、アジアで唯一の装甲鋼板の製造企業です。
装甲鋼板は戦車や艦艇の砲塔には欠かせない材料で、日本の国防に寄与するところ極めて大です。
by 村尾鐵男 (2012-01-17 11:52) 

N.Hori

あゆさこさん、かっぷらさん、ENOさん、mamaluさん、海を渡るさん、アルマさん、rtfkさん、niceを有難度うございました。ぼくあずささん、村尾さん、コメントを有難度うございました。私にとって、日本製鋼は、射出成形機のライバルメーカー(広島工場?)で、学友の故倉本さんが総代理店で販売マネジャーをされていた関係がありました。
by N.Hori (2012-01-18 08:47) 

スサノオ

 島根県安来市に巨大な工場を構える日立金属が開発した新型冷間工具鋼 SLD-MAGIC(S-MAGIC)は微量な有機物の表面吸着により、金属では不可能といわれていた自己潤滑性能を実現した。この有機物の種類は広範囲で生物系から鉱物油に至る広い範囲で駆動するトライボケミカル反応を誘導する合金設計となっている。潤滑機械の設計思想を根本から変える革命的先端材料いうものもある。
 このトライボケミカル反応にもノーベル物理学賞で有名になったグラフェン構造になるようになる機構らしいが応用化の速度にはインパクトがある。
by スサノオ (2012-12-14 19:38) 

ぼくあずさ

スサノオさん
日立金属安来工場に35年ほど前に訪ねたことがあります。DIN規格の
タービンブレード材の新規購入先調査の為でした。同じ成分なのに粘っこいので最初は切削に苦労したと聴いております。タービン軸承はタービン油で冷却する必要がありますが、貴殿がご紹介された新型工具鋼は使えませんが、その他の用途には広く採用される可能性があると思います。
by ぼくあずさ (2012-12-14 21:04) 

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