アトキンソン・サイクル・エンジン -1/6 [稲門機械屋倶楽部]
2012-01 EWME36 村尾鐵男
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ぼくあずさ氏が「ぼくあずさは地球人」に、ホンダがアトキンソン・サイクル・エンジンを搭載した「フィット」を欧州で発売すると紹介され、アトキンソン・サイクル・エンジンにつき書くようにと御下命を受けました。私が適任かどうか、いささか疑問を抱えますが、議論の突破口を開く意味で、書かせていただきます。但し、より大勢の方々にお読みいただきたく、平易を旨として数式は省かせていただきます。
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復習:熱力学第二法則(The second law of Thermodynamics)
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私達のような機械系技術者であった者は「熱力学」を避けて通るわけにはいきません。しかし、熱力学の根本を成す四つの法則は難解です。特に、エンジンを論ずるときに欠かせないのが熱力学第二法則ですが、これはフランス人物理学者カルノー(Nicolas Lenard Sadi Carnot)が19世紀半ば頃に、かの有名な「カルノー・サイクル」を発案した際に提唱したものです。しかし、その後に大勢の学者や研究者がカルノーの熱力学第二法則に相当する理論を各々の研究分野で言い換えており、どれもが同じことを意味しながらも、表現は各自各様で極めて難解です。ドイツの物理学者ルドルフ・クラウジウスや英国のケルヴィン卿等々、権威ある高名な学者の理論展開は難解です。ではカルノーはそもそも何を言わんとしたのか。極めて簡潔に言えば、熱力学第二法則は次のようになります。
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「熱エネルギーを仕事のエネルギーに変換する際の効率は、最初の熱源が持つ温度と、仕事をした後の熱源が持つ温度の差が大きいほど高い」
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これを現実のエンジンに当てはめて考えると、エンジンの作動行程の内、圧縮行程の最後に燃料が点火されて燃焼する温度と、最後に排気ヴァルヴから排出される排気ガスの温度との差が大きいほどそのエンジンの熱エネルギーから仕事エネルギーへの変換効率は高いと言えます。
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日本の底力 -36:.ホンダミニ [日本]
http://dorflueren.blog.so-net.ne.jp/2012-01-09-1
村尾さん
早速のご解説、まことにありがとうございます。
by ぼくあずさ (2012-01-16 02:14)