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藪睨みで平成二十三年を振り返る -4/9 [稲門機械屋倶楽部]

                         2011-12 WME36 村尾鐵男

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潜水艦「そうりゅう」

 福島第1原発事故やTPP問題に隠れて、まったく報道されていませんが、海上自衛隊の新鋭潜水艦「そうりゅう」型が既に三隻も就航しており、二隻が建造中、その後に二隻の建造が計画されています。

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「そうりゅう(蒼龍)」は原子力潜水艦を除く通常型潜水艦では世界の最先端、日本の造艦技術の粋を集めた世界に誇る潜水艦で、水中排水量4,200トンは世界最大の通常型潜水艦です。

「そうりゅう」の特徴は幾つもあるのですが、絞りに絞って下記の四点でしょう。

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 先ず、第一に挙げるべき最大の特徴は「スターリング・エンジン」の搭載です。 スターリング・エンジンについては詳説を避けますが、外燃機関で、スウェーデンのコッカムス社からライセンスを買っています。酸素とケロシンを燃料としますが、空気を吸気する必要がなく、この種の潜水艦をAIPAir Independent Propulsion)型、即ち、「空気不要」型と呼びます。

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「そうりゅう」以前の潜水艦は、低速での水中航行が一日か二日しかできなかったのですが、AIPシステムの採用で、「そうりゅう」は二週間の水中航行が可能になっていると伝えられます。

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 二つ目の特徴が「X」型の舵です。潜水艦の舵は、方向舵と水平舵が十文字型に配されるのが常識でしたが、「そうりゅう」はX型に組み、方向転換も船首の上げ下げも、X型の四枚の舵が総べて操作されて、運動性能を格段に向上させました。

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 三番目の特徴は、吸音タイルが船体のほぼ全面に貼られて、敵の探知ソナーから逃れる性能が飛躍的に向上し、言わば海中のステルス性能を大いに高めました。

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 四番目の特徴が、Xバンド帯の通信システムを採用して、部隊間や自衛隊全体の統合作戦をより容易にしました。

 昔の帝国海軍時代の海軍も現代の海上自衛隊も装備の近代化に熱心ですが、私達は普段は海を眺める機会が少ないので、ついつい世界一の潜水艦を見逃してしまいます。


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