孔子家語 -7/8 [稲門機械屋倶楽部]
2011-12 WME36 村尾鐵男
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孔子之郯、遭程子於塗、傾蓋而語、終日甚親。
孔子、郯(タン)に之(ユ:行)き、塗(ミチ)で程子(テイシ)に遭う。蓋を傾けて語る。終日、甚(ハナハ)だ親(シタ)し。
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原文はかなり長いのですが、その冒頭部分だけを掲げます。
郯城と呼ぶ地名が山東省にありますが、孔子がこの郯城へ向かっていたかどうかは定かではありません。又、道で遭った程子が誰であるかも判りません。
宋の時代に程顥(テイ・コウ)と程頤(テイ・イ)の兄弟をまとめて程子と呼び、この兄弟は朱子学の世界で知られておりますが、孔子の時代から1400年ほども後のことです。又、後漢の末期に武将で程普(テイ・フ)の名が残りますが、これも孔子の時代から600年以上も後のことです。
傾蓋とは、馬車の覆い、即ち、日除けとか乗っている者の姿を隠すための蓋(ガイ)を少しばかり傾けて開けることです。
「終日、甚だ親し」とは何とも長く話し込んだようです。この言葉から転じて、「程孔傾蓋(テイコウ・ケイガイ)」なる言葉が遺り、親しく語り合うことを意味します。
しかし、孔子と程子はそれほど親しくはなく、「程孔傾蓋」は、それほど親しくはない者同士がさも親しい者同士の如く語り合うことだとの説が有力です。
「程孔傾蓋」も四文字熟語の一つですが、大変難しく、聞かされても直ぐにはその意味が判りません。
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丹之所蔵者赤、漆之所蔵者黒。
丹(タン)の蔵する所の者は赤し、漆(ウルシ)の蔵する所の者は黒し。
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丹とは赤土のことです。赤土の中にいれば赤くなり、漆に塗れれば黒くなるとは、人は交友関係で赤くも黒くもなるとの意味で、友達との付き合いで善人もなれば悪人にもなると言っており、今の時代にも通じます。
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