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夢を追う男たち -13/18 [北陸短信]

                                    .by 刀根 日佐志

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 長柳と革ジャンの剣幕に驚いたD航空職員は「しばらくお待ちください」と慌てて事務所に入って行った。

協議を済ませ戻ってくると、「ご用意したホテルまでバスでご案内致しますので、今晩はホテルにお泊まり下さい。明朝十時の臨時便にご搭乗して頂きます」

顔の汗を拭きながら、心持ち上ずった声でその職員はアナウンスをした。彼も革ジャンも、アナウンスをじっと聞き入っていたが、先程からの怒りを収めた。互いに顔を見合わせて「これ位で良しとしよう」というような表情をしていた。

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乗客が疲れ果て、彼と革ジャンが激怒し、それに賛同する拍手が起こったのには理由があった。午前十時発、韓国、金浦空港行きが、濃霧による着陸不能の理由で一時間毎に、天候の調査中ですから「皆さん、もうしばらくお待ち下さい」とアナウンスがなされた。 

同じ韓国行きでも、J航空午前十時三十分発は三十分後に、悪天候を理由に本日のフライト中止を告げていた。

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正午過ぎ、荘一は受付のD航空職員に、「J航空はフライトを早くに取りやめた」がD航空はなぜ中止しないのかを聞いた。

「わが社のパイロットは世界一のフライト技術を持っています」

力を入れて述べると、その職員は、荘一の顔をじっと見てまだ何か言いたげであった。

荘一は「世界一のフライト技術」を持つことと「フライトを中止しない」こととは何故結び付くのであろうかと疑問に思ったが黙っていた。

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D航空では、フライト延期のアナウンスを出すこと六度、午後六時に搭乗出来ますとのアナウンスがあり、乗客は出発ゲート待合室で待っていた。八時間も待たせ、今日のフライトは中止です。これでは皆が怒り出すのはあたりまえだ。


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