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創作短編(31): 坂田金時 -9/9 [稲門機械屋倶楽部]

                                       2011-10 WME36 梅邑貫

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「大江山の酒呑童子(シュテンドウジ)を退治するぞ。四天王は我が後に従え」と源頼光は勇ましく下知して盗賊退治に出立した。

  このとき、坂田金時も一員となった四天王は源頼光に率いられて大江山に潜む盗賊の酒呑童子を退治した。これが後世に伝えられる鬼退治であり、豆撒きによる鬼退治伝説も語られるが、鬼とは凶悪な盗賊や山賊のことで、渡辺綱が退治した土蜘蛛(ツチグモ)も盗賊であった。

 酒呑童子の棲む大江山は山城國と丹波國の境にある大枝山(現在の亀岡市)か、或いは丹後と丹波の國境にある大江山か、二説あるが、しばしば京の街へ現れて財貨を盗み、女子供を連れ去って京の住民に恐怖を与えていた。

 京の治安を維持する武士団の頭領であった源頼光は京の近辺に棲む盗賊団を次々に退治して名を上げるが、その配下の有力な武将として坂田金時は重きを成した。

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「坂田金時、次は九州の賊を退治するのだ」と、主君である源頼光に命ぜられて坂田金時は京の街から西を目指して出立した。ときに寛弘(カンコウ)八年(1011)の晩冬のことであった。

 十二月十五日、坂田金時は美作(ミマサカ)の勝田(現在の岡山県勝央町)で宿営した折に、重い病に罹って急死した。五十歳半ばと伝えられる。

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 不思議なことだが、金時神社は南北に10kmほど離れて二つある。一つは神奈川県足柄下郡箱根町、もう一つは静岡県駿東郡小山町。どちらも由緒があるようだが、紛らわしい。

「創作短編」を書き続けたが、この「坂田金時」は意外に時間が、いや、日数を要した。とにかく資料がない。金太郎の母親八重桐のその後も書きたいが判らない。八重桐の父十兵衛は重兵衛と書かれた資料もある。その前に「金時」か「公時」か、それも定かではない。不完全なままで読者に申し訳ないが、童話でお馴染みの金太郎は実在し、立派な武将に成長したことを御記憶願えれば幸甚。


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あゆさこ

「ま~さかり か~ついだ き~んたろう~♪」小さい頃から、慣れ親しんできた、金太郎の話を、大人向けに綴っていただき、ありがとうございました。m(_ _)m 実在の人物だったのですね。(^.^)
by あゆさこ (2011-11-04 20:47) 

大嶋

童話から大人物伝記への転換に興味がありました。 資料が足りない分、次回想像を膨らませた一編を期待します。
by 大嶋 (2011-11-04 21:11) 

hanamura

金時たちが、牛車に酔ってゲロゲ~ロなんて、お茶目な話もありますね。
by hanamura (2011-11-04 21:44) 

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