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全日空機、9月6日の急降下 -3/4 [稲門機械屋倶楽部]

                                    2011-10 WME36 村尾鐵男

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ラダー・トリム・タブとは

 通常の航空機には、方向舵(ラダー)に限らず、補助翼や水平舵にもトリム・タブが設けられています。方向舵の場合で言うと、舵面の後縁の一部、小さな面積ですが、その部分を可動翼としたのがトリム・タブで、仮に機首を左に向けようとする場合、機体後方から見て、方向舵は左へ動きますが、その前にトリム・タブが右へ動きます。そうすると、トリム・タブは風圧を受けて、方向舵全体を左へ押す作用を生じます。このようにして、大面積の方向舵を容易に軽く左へ動かすことが可能になります。

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何故、スイッチを間違えたのか

 訓練不足としか言えません。操縦士は夜間も操縦し、加えて前方監視で視線は常に前方と周辺の空域へ注がれており、ましてや機長が操縦室から出ている場合は、副操縦士はこの前方監視を怠ることはできません。従って、中央コンソール上の操作機器類は目で追うことなしに操作できなくてはなりません。

 この事故機の副操縦士もスイッチを目で追うことなしに、手探りで操作したと想像されます。しかも夜間の飛行で、操縦室内は薄暗い照明があるとは言っても、事実上は手探りの操作を行って、結果としてスイッチを間違えました。

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左方向へ降下して旋回

 事故機がこのときに如何なる自動操縦の設定になっていたかは判りません。しかし、トリム・タブ・スイッチを左に二度廻して、その操作時間は合わせて10秒間であったと公表されました。10秒間もトリム・タブを作動させると、トリム・タブそのものは風圧を十分に受けるだけ開き、その結果として方向舵も十分に左へ動き、機首は左へ向いたはずです。ここで、自動操縦の設定にもよりますが、機首が左へ向けば、針路変更を容易にするために、機体は左へ傾きます。左へ傾くと、主翼の揚力が低下して降下します。でも、幸いに急降下とはならず、螺旋状の降下飛行をしてくれました。


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