原発事故と航空事故 -2/8 [稲門機械屋倶楽部]
2011-09 WME36 村尾鐵男
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分析と調査
CVR と FDR はブラックボックスと通称されますが、実物は事故現場等で発見し易いように明るい赤かオレンジ色に塗装され、耐火・耐衝撃性の堅牢なケースに収められています。
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CVRは今は樹脂で覆われたフラッシュ・メモリーに録音されますが、かつてはエンドレス磁気テープで、録音時間は30分ですが、磁気テープは幾度も使う内に伸びるので、実際には35分ほどの録音が可能でした。
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FDRは特殊鋼インコネルの薄いテープに、高度、方位、速度、エンジン出力、その他多数の飛行情報が、テープ表面に刻印を捺すように、或いは引っ掻くように記録されました。
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回収されたCVRとFDRは専用の解読装置によって音声録音を再生し、飛行情報はプリント・アウトされます。
墜落寸前の操縦士達の音声録音は悲惨です。大半は「パワー、パワー」と絶叫する声でCVRの録音は終わります。激しい勢いで降下する飛行機に少しでも高度を得させるためにはエンジン出力を増さなくてはなりませんが、それが「パワー、パワー」の絶叫となって録音されています。CVRは非公開と先に記しましたが、事故調査の報告、或いは中間報告として、私語の部分を除いて、公開されることもあります。
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このCVRとFDRは事故調査の最初の、且つ有力な手段でありますから、CVRとFDRを解読できるのは運輸安全委員会と警察や検察の捜査機関だけに限定されます。でも、警察関係等には解読装置がないので、航空会社の装置を使って再生解読を行います。
さらに、しばしば問題視されることがあります。運輸安全委員会による事故調査は、事故の原因究明と再発防止を目的とするので、当の航空会社も操縦士達も協力します。
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一方、警察と検察は事故を起こした航空会社と操縦していた者を被疑者として扱い、刑事事件として立件できることを前提に「捜査」を行います。運輸安全委員会で、事故の再発防止を旨として行った協力が、後に警察からは証拠、或いは有力証言として扱われることは度々で、この問題は未だ解決されていません。
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