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日本の情報収集衛星 -3/3 [稲門機械屋倶楽部]

                         2011-09 WME36 村尾鐵男

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  少々込み入っていますが、情報収集衛星は内閣府からの委託を受けて宇宙航空研究開発機構(JAXA)が運用しています。あの「はやぶさ」のJAXAです。

 一方、内閣府に内閣情報調査室があり、その下に内閣衛星情報センターがあって、情報収集衛星から得た情報を分析しています。

 この内閣衛星情報センターはその中央センターを東京都新宿区本村町に置いていますが、この住所は防衛省のものであり、内閣衛星情報センターの長は退官した自衛隊の将官で、副長は警察畑の退官した高官です。支所は茨城県行方にあり、衛星からの受信所は北受信所が北海道の苫小牧に、南受信所は鹿児島県阿久根市にあります。

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 内閣府にある「内閣衛星情報センター」は事実上、防衛省の一部署と見ても差し支えはないでしょう。情報収集衛星が実態として軍事偵察衛星ですから、本来なら防衛省内にその運用と分析の専門部署が置かれるべきでありましたが、他国の高空を飛ぶことと、平和利用も目指しているとの国会での駆け引きもあって、名目上でも内閣府内に機能が集められたと推測されます。

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 災害情報を公開できないほどに機密性の高い偵察衛星であるなら、防衛省にその運用と情報分析を任せるべきであり、災害情報の収集には別の衛星を用意すべきです。

 JAXAは無人操縦の飛行船を開発していました。飛行船は長時間の飛行が可能であり、ときに空中で留まることもできるので、原子力発電所の高空写真を撮るには無人操縦の飛行船は最も適した観測機です。

 この稀有の発想は、昨年のことですが、民主党の業務仕分けとやらに引っ掛かり、「飛行船とは、今時、何とも古い」との理由で開発業務が中止されました。

 政治に翻弄された情報収集衛星と無人飛行船式観測機は、政治主導を声高に唱える先見性を欠き、熟慮にも欠ける政治家の犠牲になりつつあります。


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