中国の無人機開発 -2/6 [稲門機械屋倶楽部]
2011-08-27 MWE36 村尾鐵男
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中国の軍用無人機
中国の無人機については情報が極めて少ないのですが、目下判明している限りで、四機種が開発中と伝えられます。
この内、二機種については名が付けられており、暗剣(An Chian、又は、An Jian)と千里眼(Chian Li Yan、又は、Qian Li Yan)です。
千里眼とは吹き出しそうな名ですが、暗剣とは何とも物騒です。
先の珠海航空ショーで展示された模型とパリ航空ショーで公開された実機はいずれも「暗剣」であり、米軍のF-117型機を模した無人軍用機です。
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中国軍が何故、無人機を必要とするのか
無人機の目的は、飛行機やヘリコプターで接近すると危険な場所や標的へ操縦士も含む人的損害を被ることなく接近し、偵察や観察と情報集を十分にできることです。何も軍事目的に限らず、噴火中の火山の火口観察とか損傷して放射線を漏洩させている福島第一原子力発電所の上空からの観察は無人機の最も有用な使い方の一つです。軍事目的となればなおさらです。
しかし、中国は人命軽視では世界の最たる国であり、7月23日に起きた高速鉄道の追突脱線事故の事後処理を見ても、中国での人命軽視、或いは人命無視は中国ならではのことです。
その中国で、搭乗員を危険に曝さないための無人機が何故、必要なのか、どうしても判りません。
いささか穏当を欠く表現ですが、飛行機の搭乗員に損害が出ても、高速鉄道の運転要員を十日で養成できる中国のことですから、飛行機の搭乗員も数ヶ月で養成できるでしょう。さらに、中国でも飛行機の操縦士は憧れの職業ですから、志願者に欠乏することはあり得ません。
それなのに、何故、人命尊重の現われである無人機が必要なのか。そこで思い当たるのが空母ヴァリャーグです。旧ソ連時代に途中まで建造された重巡洋航空母艦を、所有権を持っていたウクライナから買い取って、これを大連の造船所で空母として完成させて、最近ようやく試験航海を終えたばかりの中国初の空母です。
確認できるだけの情報が得られなかったので本文には書きませんでしたが、名前から察して、「暗剣」は無人攻撃機、「千里眼」は無人偵察機と推測されます。
by 村尾鐵男 (2011-08-29 07:29)