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Air France AF447便(A330-200)の第3回事故調査報告 [稲門機械屋倶楽部]

                       2011-08-17 WME36 村尾鐵男

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 2年前にブラジル沖に墜落した Air France A300-200型機については暫く前に記しましたが、その後、第3回の事故調査報告書が公開されました。

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 事故機は高度37,000フィート(≑11,300m)で飛行し、機首上げ操作を続けたために、迎え角(AOA:Angle of Attack)41.5度にも達し、失速警報(Stall Warning System)が働き、57秒間に及んで警報音が鳴り続けました。又、速度は60ノット(時速110km)以下にまで低下していました。

 失速警報音は私も聞いたことがありますが、カンカン・・・と鳴り響く甲高く大きな音で、この音を聞き落す者はいません。

 事故機の製造元であるエアバス社は、このような状況下でも適切な操作によって回復可能であると言っていますが、フランスの事故調査委員会は次の指摘をしています。

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1 迎え角表示計器の追加

2 手動操縦の訓練の必要性

3 機長と副操縦士の役割分担の明確化

4 計器盤全体の液晶表示盤上への表示

5 さらに多くのパラメーターを表示

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 現代の航空機は “Glass Cockpit” と呼ばれ、二枚か三枚の液晶パネルに計測値が表示されるのですが、欧州エアバス社の製造機はこれが他社より「進化」しています。操縦室内に装着可能な液晶パネルの面積は限られるので、総ての計測値を同時には表示できず、幾つかずつを順番に表示します。そのため、表示の順番が来るまでは操縦士が見られない計測値もあります。又、昔のアナログ計器であれば、限界値に近付くのを見ることができますが、現在のような表示方法では、限界値を越えた途端、警報と共に危険値が表示されて、経験の浅い操縦士はうろたえます。蛇足ながら、昔の航空機で、操縦室内のアナログ計器が最も多かったのはロッキード・コンステレーション機の135個でした。             

                                                                          (了)


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