創作短編(14): 縁切り寺 -1/7 [稲門機械屋倶楽部]
2011-03-25 WME36 梅邑貫
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時 :天保年間(1830年‐1843年)の初期
場所 :上野國新田荘(現在の群馬県太田市)と江戸
登場人物 :寺社奉行配下の縁切り寺役人
参考図書 :「大江戸役人役職読本」(新人物往来社刊)他.
離別一札の事
一、 今般双方勝手合を以及離縁
然る上者其元儀 何方縁組
いたし候共 私方に二心無
依之離別一札如件
丑三月十日 りへい(爪印)
おしのとの.
上記に掲げた一文が典型的な三行半(ミクダリハン)、即ち離縁状です。今の時代、この三行半を突きつけられても読めない人が多いでしょうから、少々判り易く書き換えましょう。.
離別一札のこと
一つ、今般双方勝手合を以って離縁に及び、
然る上はその元の者儀、何方に縁組
いたし候とも、私方に二心(フタゴコロ)無く
これより離別 件(クダン)の如し。
丑三月十日 りへい(利平)(爪印)
おしの(志乃)との(殿).
如何でしょうか。まだ良く判らない方にもっと易しくしましょう。.
離縁状
この度、双方協議に上、離縁します。今後、貴女が誰と縁組しても、私に異存なく、心変わりもしません。以上、離縁状です。
丑三月十日 利平(爪印)より お志乃殿へ
すごい順々にわかりやすくなってきました。
こんな風に読むととても言葉って楽しいです。
by そら (2011-03-25 20:40)