近頃話題にならない爆撃機 -3/7 [稲門機械屋倶楽部]
2011-01-13 WME36 村尾 鐡男
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〔SAC+TAC〕→ ACC → AFGSC
意外と知られていませんが、アメリカ空軍が創設されたのは1947年(昭和22年)8月7日です。それまでは陸軍航空隊であり、戦争末期に日本各地を空襲したのは陸軍航空隊であり、あのムスタングP-51戦闘機も陸軍航空隊の戦闘機でした。
そのアメリカ空軍で、私達が長く聞かされ続けたのが戦略航空軍団(SAC: Strategic Air Command)と戦術航空軍団(TAC: Tactic Air Command)で、アメリカ空軍の両翼として機能し、特にSACは、米ソ冷戦下にあって、核爆弾の長距離運搬手段として圧倒的な力を誇示し続けました。
このSACとTACは、1992年6月1日に統合されてACC(Air Combat Command:航空戦闘軍団)になりましたが、これはソ連の崩壊と冷戦の終焉によるものでありました。
ところが、「ぼくあずさは地球人」の別稿で記したように、2007年8月29日にノースダコタの空軍基地からルイジアナの空軍基地まで、アメリカ本土の北端から南端まで、核弾頭を装着したままの巡航ミサイルを無意識に輸送してしまった驚愕の事件が起き、その結果として、一年後の2009年8月7日付でアメリカ空軍は大きく改組され、AFGSC(Air Force Global Strike Command)が創設され、ACCの主要部隊はこのAFGSCに編入されました。
“AFGSC” を日本語で何と呼ぶかについては未だ定着した訳語がありません。“Global Strike Command” とは、世界の何処でも攻撃可能な能力を持つ航空軍団と言う意味ですが、アメリカ空軍が実戦配備する爆撃機は総てこの “AFGSC” へ編入され、この “AFGSC” の司令部はルイジアナ州のパークスデイル(Parksdale)基地に置かれ、ノースダコタ州のマイノット(Minot)基地の双方に爆撃航空団が配置されました。ところが、米国空軍が持つ爆撃三機種、即ち、B52, B-1, B-2 の内、AFGSCへ配備されたのは B52 と B-2 のみで、B-1 は配備されておりません。
これは、B-1爆撃機が2001年には核兵器の運用手段からは外されて、通常爆弾による爆撃のみを行う通常爆撃任務だけを課せられているからです。
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